おがみ山バイパス来年度から事業再開

おがみ山バイパス来年度から事業再開

「おがみ山トンネル」の市街地側坑口が設けられる予定のバイパス事業区域。知事の表明により事業が再開されることになる

 

移転新築、年度内に設計終了
名瀬港旅客ターミナルビル
県議会一般質問

 

 9月定例県議会は21日、引き続き一般質問があり、田中良二=自民党、薩摩川内市区=、前野義春=県民連合、鹿屋市・垂水市区=、向井俊夫=自民党、奄美市区=、桑鶴勉=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=の4議員が登壇。向井議員が取り上げた奄美市名瀬の国道58号おがみ山バイパス事業の再開となるトンネル本体工事着手について、三反園訓知事は「来年度からおがみ山バイパス事業を再開する」と表明した。

 奄美市名瀬真名津町―名瀬永田町間を結ぶ延長約1・2㌔のトンネルを含むバイパス事業は、交通渋滞緩和や災害対応の強化などを目的に1998年度に都市計画が決定し、2002年度着手。しかし「地元の合意形成が不十分」などとして前知事の表明(09年12月)により、トンネル工事が先送りされた。

 向井議員は「奄美市名瀬では、名瀬港マリンタウン事業や、末広・港土地区画整理事業も進捗しており、これらの事業と一体となった、おがみ山バイパスの事業再開を一日も早く決断すべき」と注文。

 三反園知事は答弁で「今年2月に奄美市長から事業推進を求める要望書が提出されたが、7月には奄美市が独自に未買収地権者を個別訪問し、意向を確認した結果、地権者や関係者のほぼ9割以上が理解しているとの報告を受けた」と述べ、交通混雑緩和などのため「おがみ山バイパス整備は必要と認識している。地元である奄美市や市議会、地権者の意向および災害に強い道づくりの進捗状況等を総合的に判断して、おがみ山バイパス整備へ来年度から事業を再開したい」と表明。今後、必要な手続きを進めていくとした。

 名瀬港旅客用ターミナルビルの建設計画は渡邊茂土木部長が答弁。名瀬港本港区では施設の老朽化や荷捌き用地不足などに対応するため、施設岸壁の沖出しおよび旅客ターミナルビルの建て替え等によるフェリーふ頭再編に着手している。旅客ターミナルビルについて渡邊部長は「ふ頭利用者などと協議を重ねた結果、現在地よりも市街地側への移転新築を決定した」と述べ、同ビルの設計に向けて「今月上旬に設計業務を発注したところであり、年度内に設計を終える」と報告。今後、航路・荷役・観光関係者で構成する連絡会において旅客ターミナルビルに求められる施設配置や機能などさまざまな意見をうかがう方針で、「連絡会で出された意見を踏まえ利用者にとって快適で利便性の高いターミナルビルとなるよう設計を進めていく」との考えを示した。

 奄美パークの来館者数や役割、改修計画に関する質問もあった。川野敏彦PR・観光戦略部長は「映像や展示物、田中一村の作品等を通じて情報発信する奄美群島全体の観光拠点として大きな役割を果たしている」と述べた上で、2001年度の開館以来の入館状況は17年度末までに奄美の郷約140万人、一村記念美術館約84万人の計約224万人と報告。近年の入館者数は「LCC就航や奄美群島の国立公園指定、世界自然遺産登録への期待などで13年度以降、毎年増加している」とした。

 奄美の郷の改修については今年度、屋根を含む外装工事の実施設計を行うほか、園内の歩道改修や案内板の設置などに取り組むとの説明があった。

 このほか交通安全協会の協会費収入や使途に関する質問があり、大塚尚県警本部長は「公益財団法人移行後の県交通安全協会の会費収入は17年度約2億9400万円、会員加入率45・2%。いずれも減少傾向で推移している」と説明。加入率減の要因として▽運転者の交通安全活動に対する参加意識の低下▽協会の交通安全活動が県民に十分に理解されていない―を挙げ、会費が交通安全活動に貢献していることを広く県民にアピールするとともに、チャイルドシートや交通安全視聴覚教材の無料貸し出しなど会員特典の拡充に努めていくとした。