美術展大賞に上田さん(東京都)

美術展大賞に上田さん(東京都)

美術展大賞を受賞した上田泰徳さんの「帰還」

美術館大賞を受賞した平野良光さんの「通り雨」

奄美を描く美術展審査結果発表
入賞12点・入選25点決まる

 田中一村生誕110周年「第17回奄美を描く美術展」(同実行委員会主催)の審査結果が12日、発表された。最高賞となる同美術展大賞には、東京都在住・上田泰徳さんのウミガメを描いた日本画「帰還」が輝いた。展示は、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館企画展示室で21日から始まる。

 同展は、奄美の文化振興や観光の発展に寄与しようと毎年開催。県外を含む群島内を中心に98点の出品があり、12点の入賞作品と25点の入選作品を選出した。

 種類別では、油彩45点、アクリル・水彩32点、日本画・墨12点、工芸6点など多種多様。年齢では、15歳を最年少に、91歳まで幅広い世代が奄美を豊かに描いた。

 同美術展大賞の上田さんの日本画「帰還」について審査員は「動きのある画面構成で、海中を思わせる色調が心地よく、海の生命力を感じる」と講評。同記念美術館大賞は、徳之島町在住の平野良光さんの油彩「通り雨」が受賞。ガジュマルをモチーフにした作品は「海中のイメージが重なり独自の世界観が出来ている。緻密な描写によって樹木の不思議なエネルギーを感じさせる」と評価された。

 審査委員長を務めた公益財団法人二科会・西健吉理事は「奄美の特徴的なモチーフを生かした多彩で魅力的な作品が見られた」と総括。続けて「もう一歩奄美の中に入り込み、さらに魅力的な作品を期待する」と今後に期待を寄せた。

 展示会は、21日~11月18日までで、時間は午前9時~午後6時。授賞式は28日午後2時から行われ、12月1日からは鹿児島市立美術館を巡回する。

 その他の入賞者は次の通り(敬称略)。

 【優秀賞】丸山良二郎(鹿児島市)、寛文雄(伊仙町)、矢﨑朱実(愛知県)、中村哲郎(奄美市)、平芳子(同)【奄美の空賞】田河美紀子(同)、吉村英彦(同)【奄美の杜賞】重村敏光(同)【ヤング賞】河田夏歩(喜界町)【シルバー賞】中野長子(奄美市)