パネリスト7人が登壇し意見発表を行った
基調講演を行う石田秀輝さん
先人の運動に学び新しい奄美の未来創造を目指す「奄美群島日本復帰65周年記念・日本復帰運動に学び自立発展を語る奄美シンポジウム」(同民間団体実行委員会主催、大津幸夫委員長)が14日、奄美市名瀬の県立奄美図書館で開かれた。「奄美の同胞が復帰運動に学び、総力を結集し、奄美の自立的発展を目指そう」をテーマに、約70人が参加。参加者は、基調講演やパネルディスカッションを通じ、復帰運動の継承や奄美の自立発展のあり方などを探った。
主催者を代表し、大津委員長があいさつ。「復帰65周年を迎え、運動に参加した人たちも少なくなってきた。今奄美は転換点にあり、きょうはその将来について、先人の土台の上にどう発展させていくのか議論していただきたい」と期待を述べた。
基調講演では、沖永良部在住で東北大学名誉教授の石田秀輝さんが、「孫に渡せるものは何か?未来の奄美を考える」と題し基調講演。石田さんは、将来の環境悪化や物質的消費欲求の劣化などを見越し、自立・成長するための概念として、未来から現在を見る〝バックキャスト思考〟が大切だと訴えた。
「ちょっとした不自由さや不便さを自分の知恵や技を使って乗り越える、あえて制約を求める生活も必要。真っ白なキャンバスに描くのではなく、先人の知恵を見直し眺めてほしい」と述べ、自身が推進する酔庵塾の活動などを紹介した。
パネルディスカッションでは、パネリスト7人が登壇し「復帰運動に学び奄美の(未来)自立発展を語る!」をテーマに意見発表。奄美郷土研究会・森紘道会長は、「復帰を勝ちとったことで総括することも多いが、もっと運動の豊かな内容を汲み取るべき」と話し、年表から若手の活動や文化の胎動を読み解いた。
NPO法人すみようヤムラランドの前理事長・和田美智子さんは、集落起こしに奔走し、集落巡りや民泊を立ち上げた経緯などを説明。地域活性化に向けては「選択肢は多い方が(観光客に)奄美の良さを伝えやすい」などアドバイスを送った。
この後は、参加者を交え自由討論。今回出た意見や提言は、11月24日開催の「第2回全国奄美人大会」でも反映していく。