南国に〝冬の使者〟

天城町浅間海岸の干潟に飛来した〝冬の使者〟「マガン(真雁)」=14日午前11時半ごろ(満潮時)

天城町浅間海岸 迷鳥「マガン」2羽

【徳之島】渡り鳥の飛来シーズンを迎えつつある。渡り鳥たちの越冬および中継地の〝水鳥たちの楽園〟の一つ天城町浅間海岸には14日、国の天然記念物「マガン(真雁)」が2羽飛来した。数千㌔の〝V字編隊飛行〟からはぐれたとみられる番(つが)いの迷鳥。寄り添いながら干潟の海水面で翼を休めていた。

カモ目カモ科の水鳥で全長75㌢前後、体重約2・7㌔。全体が褐色を帯び、腹に黒色の横縞。くちばしはオレンジ色で額の前部が白く、尾は黒褐色で先端は白色。ユーラシアや北米の北部で繁殖し、日本には北海道など北日本を中心に冬鳥として飛来、西日本では珍しいという。環境省レッドリストで準絶滅危惧(NT)種、国の天然記念物に指定されている。

14日午前11時半ごろ、天城町総合運動公園と徳之島空港間の干潟に、北方から2羽で飛来し、繁茂したヒルギ科植物をぬうように着水。カメラを過敏に警戒する様子もなく、仲睦まじくゆったりと泳ぎ回った。

同公園の野鳥観察台「トリトリデッキ」の企画・デザイン者で自然写真家の山田文彦さん(52)=同町浅間在住=によると、同じカモ科のオオヒシクイ(天然記念物)は毎年島内への飛来情報が。だが、同地で野鳥観察を続け約9年半になるが「マガンは初。奄美群島や沖縄、八重山でもまれ。度胸の太いマガンが水上にいるということは、飛来直後で安全を確認中、といったところか。基本的にエサは牧草地などのローズの種や草が主。南下の角度を間違えたのでは」と話した。