水利用・高収益農業を目指してあった徳之島地域「営農技術・経営研修会」=16日、伊仙町ほーらい館
【徳之島】徳之島地域の2018年度営農技術・経営研修会(徳之島地域総合営農推進本部および同島農業改良普及事業協議会主催)が16日、伊仙町ほーらい館であった。担い手農家や関係機関・団体職員ら約140人が参加。徳之島ダムの水利用面積の拡大に伴う畑かん営農の促進や農業生産技術に関する情報提供、水利用組合側の事例発表などを通じ、高収益型農業への方策を考えた。
国営徳之島用水土地改良事業で建設した徳之島ダム(貯水量730万㌧)の通水開始から3年目。全体面積3451㌶に向けた水利用面積の拡大(17年度末、散水可能面積12・4%)に伴い、栽培技術の向上による生産性の向上、高収益性作物の導入、農業経営の改善、農地の有効活用策など情報共有が目的。
農業生産に関する技術情報「知って得する農業技術」の発表者・題は、▽「サトウキビ株出し管理機『スクープ』の考案」(県農業開発センター徳之島支場・黒木榮一研究専門員)▽「飼料作物の栽培」(県徳之島事務所農業普及課・大久保剛技術専門員)▽「ばれいしょ定時定量出荷のための栽培のポイント」(同課・俵積田智也技術専門員)。
農機メーカーと共同開発した小型トラクタけん引式の株出し管理機「スクープ」は、作業速度をロータリーの約4分の1に速度がアップ、収穫直後の有機物ハカマほ場の管理が可能(12月発売予定)。牛の死亡原因ともなる硝酸塩中毒を防ぐための「濃い緑色」飼料作物の供給回避などもアドバイスした。
「畑かん営農に係る事例発表」には、▽「畑かんモデル団地での水管理組織の運営」(伊仙町木之香地区水利用組合・谷村清次さん)▽「農地中間管理事業を活用した畑かん営農推進」(徳之島町南原地区同・富田良一さん)▽「新規散水地区における畑かん推進活動」(天城町兼久地区同・秋田浩平さん)▽「石垣島先進事例報告」(畑かんマイスター、伊仙町・太田淳一さん)が登壇。
谷村さんは今後の課題に「水利用でいろんな作物ができる。水の大切さをもっとPRする必要が」。富田さんは南原地区(56・7㌶、受益農家51戸)がいち早く農地中間管理事業を導入して農地集積率が54・4%に達し、県営畑かん施設整備同意率や畑かん営農推進にも効果を挙げている点を紹介。他地区からは、中間管理事業活用に相続未登記農地の多さがネックとなっている実情の報告も。秋田さんは、付加価値の高い品目(実エンドウやショウガなど)の導入も課題に挙げた。
引き続き徳之島高校生らの課題研究発表、畑かん事業の進捗状況と水利用組合設立・散水状況の報告などがあった。