出資者がはさみ入れ

出資者がはさみ入れ

記念すべき反物のはさみを入れる松田さん

紬NEXTプロジェクト CFで資金調達

 本場奄美大島紬協同組合青年部メンバーらで構成する「本場奄美大島紬NEXTプロジェクト」(南晋吾プロジェクトリーダー)は25日、クラウドファンディング(CF)事業による1反目の完成を祝う「はさみ入れ」を行った。出資者で東京都在住の松田知美さんは「伝統工芸に以前から支援を考えていた。大島紬は普段着なので、主人と一緒にレストランに着ていくものを仕立ててみたい」とその出来映えを喜んだ。

 同プロジェクトは、「若い職人たちで大島紬を作り、販売方法も含めて職人を守り育てる仕組みを作ろう」を理念に、同組合の若手世代が集まり2017年に始動。若い世代の技術継承や職人の経済的自立などを目指し活動を行っている。

 今回のCFは、若い世代で全工程制作を目指し、18反分の原材料費とプロジェクトのPR費用の調達を目指すもので、目標を大幅に上回る約300万円が支援。反物は9月10日ごろから、織り歴13年の森千晶さんが約1カ月半かけて1反分を織り上げ、仕上げた。

 この日は、東京から来島した松田さんが、奄美市名瀬の田畑絹織物に出向き、緊張の中記念すべき1反目にはさみ入れ。オリジナルの龍郷柄が織り込まれた反物を手に「見た目もシンプルで、手触りも格別。(自身で泥染めを行ったこともあり)思い入れのある品物ができた」と喜んだ。

 はさみ入れを見届けたメンバーで都成織物・黒田康則さんは今後について「お客さま優先の仕事になる」としながらも「失敗しても修正のできる場。今後も何ができて何ができないのか確認しながら、若手チャレンジの場を育んでいきたい」と語った。

 この後一同は、同浦上にある本場奄美大島紬協同組合で検査を確認。調整後は、箱に収めて松田さんに届けられる予定となっている。