喜界「白ゴマ」ブランド影響懸念

喜界島は国内有数の白ゴマの産地(資料写真)

「信頼損ねる行為」
県内製油メーカー産地偽装

 姶良郡湧水町の製油メーカー「鹿北製油」(和田久輝代表)が外国産のゴマを国産品と偽り、製品を出荷していたことが30日までにわかった。同日、和田代表は報道陣に対し産地偽装を認め、「喜界島産ゴマの生産量が減少した数年前から(偽装を)行っていた。すべて私の責任」と謝罪した。20年以上前から喜界島産「白ゴマ」を扱うメーカーの不祥事に、喜界町内の生産農家は「地域が取り組んできたブランドに影響する。消費者の信頼を損ねる行為で許されない」と憤る。

 当社は創業以来「国産原料」へこだわってまいりました―(鹿北製油ホームページから抜粋)。同社は主に九州産のゴマを原材料に植物油の製造・販売を行っていた。商品の一部で南米産のゴマを使用し、「すりゴマ」「いりゴマ」「ゴマ油」など17品目を全国出荷していたことを明かした。

 報道陣に対し和田社長は、3年前から国内有数の産地である喜界島産ゴマが不作や県外のバイヤーとの競合から材料確保が困難となり、社長自身が社員に指示して偽装を行ったことを伝えた。

 このことを受け、県食の安全推進課は事実確認を行う。食品表示法に抵触する場合、立入調査や業務改善を指示する意向だ。 

 無農薬、高品質でブランド化したゴマを生産する喜界町内の関係者は今回の不祥事発覚に困惑する。

 JAあまみ喜界事業本部によると、ゴマの生産状況は収穫時期の台風接近でここ2年は不作続き。生産量実績は2016年度約60㌧だったが、17年度約21㌧、今年度も20㌧弱の見込み。さらに近年の白ゴマブームで県外から引き合いが増え、ここ数年はJAを通じた同社の取扱量は数分の一程度に低下。近年は3~4㌧にとどまっているという。

 報じられた産地偽装についてJA担当者は「向こう(鹿北製油)からいまのところ連絡はなく、詳細はわからない」とし今後の取引の見通しは立っていない。

 島内の生産農家の一人は「生産者が手塩にかけてつくっており、安全性に疑問をもたれる偽装行為はありえない」と怒り心頭。また数年前に取引先を変えたという生産者は「簡単に増産できないので今後も品薄感は続くのでは」と見ている。

 同町役場農業振興課は数年前から取引額の高騰を認識。「まだ詳細を知らされておらず、今回の報道に困惑している。せっかく高めたブランドを維持できるよう努めたい」と事態を注視する考えだ。

 喜界島はゴマの栽培に適した気候、土壌のため国内最大の白ゴマ産地。島内栽培面積は約150㌶。収穫時期は例年7~9月で、生産量は平年約70~80㌧。ほとんどが島外に出荷される。