宇検村で大島地区ふれあい読書フェスタ

宇検村で大島地区ふれあい読書フェスタ

ふれあい読書フェスタで講演した永田萠さん

「内面世界を豊かに」
絵本作家・永田さん講演も

 県図書館協会奄美支部(重村一人支部長)は10日、宇検村の生涯学習センター「元気の出る館」で第17回大島地区ふれあい読書フェスタを開いた。地区内の図書館(室)職員や親子読書活動関係者などが参加し、表彰や事例発表、実演のほか、同村を舞台にした絵本を作成した作家による講演が行われた。活字離れが言われる中、読書活動の機運醸成に向け普及推進を図った。

 今年度フェスタのテーマは、「さぁ出かけよう、読書の森へ~本から学ぶ地域の自然と文化~」。同地区市町村の図書館(室)や小中高、読書ボランティアなどから約140人が出席した。

 同支部の重村支部長が開会あいさつ。同村教育委員会の村野巳代治教育長の歓迎のあいさつに続き、優良読書会表彰と図書館・公民館図書室職員功労者表彰が行われた。

 続いて同村の阿室小中親子読書会と田検小親子読書会が事例発表。阿室小中からは、「読書時間の確保や、子どもの読む意欲が沸くなどの成果がある。保護者がお世話係の時しか参加しないという家庭があるのが課題」と報告。田検小の発表者は「親子読書会は、親も一緒に参加できる有意義な時間になっている。継続参加する家族は多いが、新規を増やしたい」と話した。サプライズで田検小親子読書会の児童らが、『ケンムンとぼくの夏』の一場面を舞台上で小道具など使って演じる場面も。

 実演は同村青年団連絡協議会が担当。6月に読み聞かせの研修を受けた団員が絵本の選択について、▽子どもと同じ目線で選ぶ▽年齢に合わせる▽自分の心に残っている本▽長く読み継がれている本▽いろんなメディアなどで紹介されている本を選んでほしいとした。団員が出演した宇検村の方言劇のお披露目もあった。

 休憩後にイラストレーターで絵本作家の永田萠さんが講師となり、「読書が開く想像のとびら」と題して講演。永田さんが自身の半生を紹介しながら小学中学と読書に親しんできて、高校の時の演劇部の経験が現在の職業につながったことなどを語った。

 永田さんは自身の作品の制作過程や、同村が舞台の『ケンムンとぼくの夏』の制作時のエピソードなども紹介。取材に何度も訪れて、「奄美大島が好きになった。見たことのないものばかり見られた。光や色の美しさに圧倒され、人の優しさも気に入った」と話した。

 作品については「自身の作品で伝えたかったのは、子どもが死ぬ戦争は許せないということで、作中の子どもに代弁して言ってもらった。作家としてみなさんの心に何か残せればうれしい」「読書は子どもたちの内面世界を豊かにする。これからも本を手に取り、身近に絵本を置いてもらいたい」と締めくくった。

 【表彰】▽優良読書会 読書会「島にて」(奄美市)▽職員功労者 森岡幸也(宇検村生涯学習センター図書室前館長)、仲江真由美(宇検村生涯学習センター図書室司書)、登山典壽(喜界町図書館前館長)=敬称略=