和光園合同慰霊祭

391柱の碑に献花し冥福を祈った合同慰霊祭

地域溶け込み 人権学習の場にも
391柱の冥福を祈る
入所者数24人 国内療養所で最少

 奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(加納達雄園長)は15日、同園の講堂で2018年度合同慰霊祭を開いた。会場に参列した遺族や入所者、職員らは、黙とうと献花を行い、昨年11月以降に亡くなった2人を含む391柱の御魂の冥福を静かに祈った。

 加納園長は「平成の最後。ゆく年の流れを感じる。奄美和光園は開設以来75年を経過し、国のハンセン病対策が始まってからは100年以上になる。入所者一人一人の人生を支えるため最大限に貢献して行きたい」「和光トンネルが開通し、和光町ができるなど奄美和光園は名実ともに地域に溶け込んでいる。また、偏見や差別のない社会をつくるための人権学習の場にもなっている。これからも入所者の静かな暮らしを守るべく、職員の研さんに努めていく」などと述べた。

 遺族を代表して17年11月から18年11月14日までの間に亡くなった入所者の親族の女性は、「人の心にバリアはまだ残っている。心のバリアなくすことが遺族の願い。人間が持っているいたわりの心を見つめ直し、その人がその人らしく過ごせる社会にするのが私たちの使命で務めだろう」「入所者が住み慣れた施設で『終の棲家』として、その人がその人らしい生活が過ごせるように今後も尽力していただきたい」と訴えた。

 式後に参列者は園内の納骨堂に移動。安置された物故者の位牌に手を合わせた。

 同園は1943年開設。48~49年のピーク時には360人以上の入所者数を記録したが、今月15日現在の入所者は24人(男7人、女性17人)で国内の療養所では最少。最高齢は101歳の女性で、平均年齢は85・8歳となっている。