潜水調査で白化現象やオニヒトデの食痕などの発生を探査した(提供写真)
瀬戸内町海を守る会(円山正吾会長)は21日、同町安脚場沖のサンゴ群落でリーフチェックを行った。同会会員などが潜水調査し、調査地点では「白化による影響は軽微で、大型のミドリイシ群体も生存。オニヒトデの食痕もみられない」とした。
同地点でのリーフチェックは、18年連続18回目。奄美大島南部の周辺海域は2001~05年にかけて、オニヒトデが大量発生してサンゴに壊滅的な被害がもたらされた。
同調査地点は02年6月、サンゴ保全海域に設定され、オニヒトデ駆除を継続しサンゴ群落を保全。今回の調査に会員など20人が参加した。
加計呂麻島安脚場沖の約200㍍に広がる礁斜面に、水深5㍍と10㍍地点に100㍍の測線を設定。潜水して測線におけるサンゴ被度や、魚類指標種、無脊椎生物の数など指定項目を計測した。
奄美大島では前年の夏期高海水温の影響で、内湾や外洋に面する礁池内でサンゴの白化現象が発生。大島海峡内は白化群体も少なく影響は軽微だったという。
調査地では、樹枝状ミドリイシ属や葉状コモンサンゴ属の一部(5%未満)に台風24号による破損を視認。白化群体やオニヒトデ食痕は、ほとんどみられなかった。
生サンゴ被度は、水深5㍍測線で50・6%(前年46・3%)と4・3%増加し、水深10㍍測線では47・5%(同45・6%)と1・9%増加。魚類指標種は、水深5㍍測線でチョウチョウウオ類が46個体(前年26個体)、10㍍測線で37個体(同28個体)と増加した。
チーム科学者として調査に参加した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は、安脚場沖のサンゴ群落をサンゴ幼生の供給源、観光資源として重要視。リーフチェックについて、「18年間サンゴが壊滅することなく保全され続けてきたことは、サンゴ礁保全の成功例」と評価した。
またこの日は、会員らにより投錨によるサンゴ破損防止のために設置している係留ブイの補修や、海底清掃なども実施。円山会長は、「会員の活動でサンゴ礁も回復してきている。今後もサンゴ礁保全に努めたい」と話した。