次世代に繋ぐ議員の会

外来動植物対策を講演した環境省奄美野生生物保護センターの千葉康人上席自然保護官

「駆除活動の拡大必要」
講演通し 外来種問題の見識深める

 奄美の宝を次世代に繋ぐ議員の会(会長・金子万寿夫衆院議員)は8日、奄美市名瀬の大島支庁会議室で世界自然遺産登録に向けた勉強会を開いた。奄美大島5市町村の議員や自治体職員などが参加し、講演で外来種対策について見識を深めた。質疑ではノネコ捕獲事業や、ノヤギの対策に関する質問があった。

 開会で副会長の永井章義県議と、県大島支庁の松本俊一支庁長があいさつ。講演を「外来動植物対策について」と題して環境省奄美野生生物センターの千葉康人上席自然保護官が担当した。

 千葉さんはスライド資料と配布資料で、世界自然遺産登録やユネスコの諮問機関IUCN(国際自然保護連合)からの指摘事項などを解説した。

 勧告の内容は、▽遺産価値=該当する可能性あり▽完全性(区域境界)=境界の修正必用▽保護管理=管理状況について評価―などと説明。「自然保護について、外来種対策の推進や総合的モニタリング、実効性ある観光管理の指摘を受けた」と話した。

 千葉さんは奄美で確認されている外来生物を紹介。「かなり多くの種が入って来ている。対策方針を重要地域は徹底した駆除で守り、その周囲は悪さをするものから手を付けていきたい」。

 外来生物対策として、奄美マングースバスターズの事例やノネコ捕獲事業などを報告。「ノネコの森林内からの捕獲排除と、発生源対策であるTNR事業を進めている」と語った。

 千葉さんは、「各地で実施されている外来植物駆除活動などを、企業や地域住民の活動に広げていくことを目指したい」「しっかりと自然を守り、地域の持続可能な発展に皆さんと取り組んでいきたい」とまとめた。

 その他で、県大島支庁総務企画課の湯田平哲朗課長と奄美自然学校の永江直志代表が発表。湯田平課長は県が制定を目指している「外来動植物対策に関する条例骨子案」を説明した。

 永江代表はビオトープネットワークや、ゾーニングを紹介。「地元市町村の熱意も問われるので、次のIUCNの現地調査までに体制を作ってもらいたい」と話した。

 質疑では、「ノネコ捕獲事業に、報奨金を導入しないのか」や「フォレストポリスなどで目撃例があるノヤギの対策は」などの質問が出された。龍郷町の窪田圭喜議長は秋名・幾里集落での外来植物(オオキンケイギク、ボタンウキクサなど)の駆除活動を紹介し、「5年前から駆除している。少なくなっているとみられるが、議員連盟が各集落で率先してボランティアで実施するべきでないか」と提言した。

 同会副会長の向井俊夫県議のあいさつで閉会となった。