指導対応の不適切さ原因

2015年11月に起きた、奄美市内の中学生自殺事案について、第三者調査委員会が記者会見を開いた(9日、奄美市役所第二委員会室)

奄美市の中1自殺 第三者委報告で発表
学校の組織対応欠如問題視

 奄美市内の中学1年生の男子生徒(当時13歳)が2015年11月に自宅で自殺した件で、同市が設置していた第三者調査委員会(内沢達委員長、委員6人)は9日、市へ報告書を提出した。同委は、担任から受けた指導と家庭訪問時の対応の不適切さが自殺の原因だったと発表した。

 事案発生までの経過報告の一部によると、同月2日に同じクラスの生徒が「友達に嫌がらせを受けている」との理由で欠席。休日をはさみ、4日に登校したこの同級生に対し、担任は「他の生徒からされた嫌なことを書く」よう指示した。

 その中で、名前の上がった5人にも「(同級生に対して)したことを書く」よう指示。一室に生徒らを集めて、謝罪をさせたという。

 担任は帰宅した男子生徒を訪問し、声を掛けた。家族によると、担任の発言を聞き、男子生徒は号泣していたという。その後生徒は自殺した。

 弁護士会や各学会、NPO団体関係者などからなる同委員会が設置され、17年5月に第1回目の協議会を開催。全22回の協議、生徒22人、保護者21人、当中学校教職員15人にヒアリングも行い、調査を進めてきた。

 同委は、欠席した生徒に対する対応について、「前後の状況や経緯、気持ち等の詳細な聞き取りは行わず、事実の確認としても不十分」と対応の不適切さを指摘。

 また、調査のなかで欠席した生徒本人が、「遊びみたいなものだった」と答えたことも含め、「(担任が)いじめ、ないし嫌がらせと考え、その日に謝罪までさせるような対応は拙速」とも指摘した。

 記者会見で、内沢委員長は「(担任の)勝手な思い込みから、ことが進んでいった状況と考えられる」。枡優香副委員長は「情報共有していたら、1人の思い込みがあった時に、子どもの立場にたった視点も出てくるのでは。1人でやることは負担が大きい。先生、生徒にとっても組織で動くことが大切だろう」と学校の組織対応が欠如していたことを問題視した。