「トクサラン」開花

黄緑色の花が華やかさを醸し出す「トクサラン」(西康範さん撮影)

師走の森華やかに

 師走の森を華やかに“森の妖精”が彩る――。奄美大島南部の山中で、「トクサラン」が開花しているのを西康範さんが撮影した。そろそろ終盤になるという。淡い黄緑色は存在感があり、周囲を明るく照らし出している。

 希少種で、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に位置付けられている。

 山下弘さんの著書『奄美の絶滅危惧植物』によると、エビネ属に近縁のランで、花期は12月。奄美大島、徳之島、屋久島、沖縄島、石垣島に分布。暖温帯~亜熱帯の林床に生えるやや大型の地生ラン。茎は高さ約25㌢、葉は長さ20㌢、幅は約4㌢。茎の下方の節から花茎をだし、十数個の花をつける。

 和名の由来は、節のある緑色の茎の林立した様子を、シダ植物のトクサに見立てたとされている。山下さんによると、絶滅危惧の主要因として森林伐採、河川開発がある。