奄美の地域振興に向けた取り組み方針で委員が意見を交わした
県大島支庁は21日、庁舎内会議室で、奄美地域の課題や施策について方針を考える懇談会を開いた。今年3月、県が策定した「かごしま未来創造ビジョン」への補完が目的。地域産業やまちづくりなど分野別の方向性に「奄美のウェルネス(健康・癒し・長寿)」を重点に幅広く取り組む方針案が概ねまとまった。2019年度から実施する見通しだ。
中長期的な観点で、鹿児島の目指す姿や施策の基本姿勢を示した同ビジョン。現在、県内7地域(振興局・支庁)が取り組み方針案の策定作業に着手し、関係団体や有識者で構成する「地域懇談会」を通じて、方向性が検討されている。
大島支庁では今年8月と今回の計2回、会合を開催。事務局は今後取り組む方針案として、▽教育・文化・スポーツ▽保健・医療・福祉▽環境・エネルギー▽まちづくり▽地域産業―の5分野を提示。地域資源としてのウェルネス活用を踏まえ、ブランド化による付加価値の創出や観光客の誘致など、幅広く展開することを強調した。
この方針案に対し出席した委員は大筋で了承。その上で、最終日のこの日の意見交換では、世界自然遺産登録の実現に向け、「徳之島島内にも県担当者の配置を」「環境に配慮した公共工事の推進」「外来種対策を候補地だけでなく、奄美群島全域で啓発するべき」などの対応を求めた。
また国内外からの観光客増を踏まえ、インバウンド対策や需要供給のバランスを保ちながら、行政と関係団体が連携した体制づくりの要望もあった。
委員から出された要望や提案を検討し、18年度中に方針策定する見通し。
松本俊一支庁長は「各分野での条件不利性への対応、世界自然遺産登録候補地の環境整備など奄美が抱える課題に対し、取り組みの広範的な活用が重要。人材育成なども含め、多面的な対応を進めたい」と話した。