「日本復帰65周年記念展―記憶から記録へ―」が奄美博物館で開幕した
奄美博物館 記憶継承に課題も
奄美市教育委員会文化財課は22日、同市名瀬の奄美博物館で奄美群島日本復帰65周年記念「日本復帰65周年記念展―記憶から記録へ―」を開始した。5年ぶりに同館などの所蔵資料が公開され、当時の苦難や日本復帰運動の状況が一覧して学べる展示となっている。企画展は来月27日まで。
復帰運動の企画展はこれまでに、日本復帰40周年、同50周年、同60周年と10年ごとに開催。ただ当時の記憶が残っている人が少なくなり継承が難しい状況にあるため、前回から5年目での企画展となった。
今回の企画展は、記録(資料)から太平洋戦争や、米軍政府による行政分離、日本復帰運動などを学び考える機会とする目的。同館の所蔵資料以外に、名瀬小学校の資料なども展示公開されている。
名瀬小学校は復帰運動の決起集会の会場として校庭や石段などが利用され、2013年に市の文化財に指定。同校の保管資料として復帰運動の中心的人物だった泉芳朗が、演説で用いた円形テーブルも出展している。
展示内容は▽太平洋戦争時の奄美群島▽米軍政府統治下の奄美群島▽日本復帰運動▽日本復帰から現代へ―と区分。復帰当時の様相を伝える約50枚の展示物や、90点ほどの資料が公開されている。
同課の久伸博課長は、「今後は日本復帰運動の記憶を持つ人もより少なくなる。記憶の継承が課題」と説明。「記録から学ぶためにも、撮影者の調査含めての写真収集や、記録資料の整理などを推し進めたい」と語った。
企画展は来月27日までで、「奄美群島日本復帰記念の日」である25日は入館料が無料になる。