「純黒糖」の香り伝統工法が息づく

白い湯気と甘い香りを充満させ伝統の「純黒糖」づくり=27日、伊仙町犬田布(徳南製糖)

伊仙町犬田布・小型製糖工場

 ○…伊仙町犬田布の県道沿いの小型製糖工場で、半世紀以上にわたって「純黒糖」にこだわり続ける「徳南製糖」(南郷光枝代表)。伝統のサタタキヤドリ(黒糖たき小屋)製法を守る工場には、甘い濃厚な香りの湯気がモクモクと充満。往来のドライバーたちにも季節の移ろいを感じさせている。

 ○…徳南製糖の南郷秀一さん(67)によると、現在地に黒糖工場が建ったのは1953(昭和28)年。68年に南郷さんの先代が経営を引き継いで50周年。熟練工たちが、昔ながらのサタヤドリ工法でサトウキビの搾汁を煮詰める「純黒糖」。大半は、「黒飴(あめ)」やかりんとう、羊かんなどでおなじみの老舗の菓子メーカー那智黒総本舗(和歌山県)に納入している。

 ○…原料のキビは手作業で丁寧に収穫されたものであることが不可欠。今年も台風24号などの被害で登熟が伸び悩んだが、製糖開始(13日)当初に比べ「平均ブリックスは17度と回復傾向」と南郷さん。

 ○…「純黒糖」は吸湿してカビが生えやすいため、開封後は生もの同様、冷蔵庫での保存が必要。健康食ブームと「国産=安心・安全」志向の高まりで小売り販売用も引き合いが増加。国内大手の発酵食品メーカーからは酵素商品の原料としての引き合いも生まれている。操業は4月上旬まで。徳南製糖(電話0997―86―9020)