「スマート農業」に関心

重量物も軽々と「ウインチ型パワーアシストスーツ」の体験も(スマート農業研修会)=11日、天城町

天城町で初研修会 ロボット技術やICT駆使
「楽して儲かる経営に」

 【徳之島】ロボット技術やICT(情報通信技術)など先端技術の徳之島農業への普及拡大を模索する「スマート農業研修会」(徳之島地域総合営農推進本部担い手部会などが主催)が11日、天城町農業センターであった。島内の認定農家や新規就農者など関係者約85人が参加。同先端農業の概要や情報提供、島内での導入事例、実演・体験などに関心を示した。

 個別経営体の規模拡大が進む一方、同島でも労働力不足などが深刻化。これら課題解決の一助に期待されているのが、ロボット技術やICT活用で超省力・高品質生産などを図る「スマート農業」。普及への参考となる基礎的な情報提供を目的に、県や3町の関係団体が初企画した。

 研修ではまず、県農業開発総合センター普及情報課の茶圓耕一・農業普及専門員が「スマート農業がやってきた!」と題し講話。「スマート(賢い・高知能・鋭い・活発)農業」で得られる、①超省力・大規模生産を実現②作物の能力を最大限に発揮③きつい作業・危険な作業からの解放④誰もが取り組みやすい農業の実現⑤消費者と実需者(業者など)に安心と信頼の提供―などメリットも解説。

 GPS制御のロボットトラクターや病害虫防除マルチローター(ドローン)、生産工程管理システム活用の生産安定・履歴記帳、ICTを活用した牛の繁殖管理システム―など実用化の現状も説明。「スマート農業の中心にあるのはコンピューター。人や機械が動くことが〝データ入力〟になる時代」。基本的には「(農家の)経験に加えたデータの活用が経営の発展を左右する」と付け加えた。

 スマート農業実践例では伊仙町肉用牛振興会会長の迫田徳子さんが「『牛恩恵』の利用で分べん事故をゼロに!」で報告。出産前の母牛体内に温度計を入れ、分べん兆候に伴う体温変化をメールで知らせる同システムによる「事故ゼロ」。そして「分べん監視の夜間の見回り、外出制限から解放され、精神的・肉体的負担と重労働から解放された。スマート機器を上手に使って楽をして・儲かる農業経営に」とアピールした。

 ドローンによる農薬散布の取り組み状況の報告や、重量物の積み降ろしを楽にする「ウインチ型パワーアシストスーツ」の実演もあった。

 会場には徳之島高校の総合学科生物生産系列の2、3年生8人の姿も。県立農業大学校に進学後、Uターン就農を目指す平山龍聖さん(17)=2年生=は「スマート農業は、高齢者たちにとっても楽な農業が実現できると思う」と目を輝かせていた。