今期タンカンJA共販

今期タンカンJA共販

高性能光センサー式の選果システムが採用されている奄美大島選果場。タンカン選果で利用されることで、奄振事業が有効活用される

 

前年実績上回る申込み
光センサー選果 高値安定のメリット

 

 奄美の特産果樹で果樹農業の柱となっているタンカンは来月から収穫期に入るが、JAあまみ大島事業本部は今月から贈答用や家庭用商品の注文を受け付けている。昨年の台風被害などでかんきつ類は生産量の減少が顕著だが、生産農家によるJA共販申し込み(タンカン)は前期実績を上回る約100㌧。共販のさらなる上積みへJAでは、品質保証が可能な光センサー選果による販売で高値安定など共販メリットの周知を図っている。

 同本部のタンカン販売(「奄美たんかん」)は、経済連を通しての市場出荷のほか、経済連系列のくみあい食品、東京や新潟・沖縄の青果業者、宅配便、ふるさと納税返礼品としても活用されている。このうち受付が開始されている宅配は贈答用の場合、外観・品質の商品性が高い秀品・優品が準備されており、2月上旬から発送する。

 共販にあたり同本部では昨年10月、部会員を対象にした数量調査に着手。年末までに全体で約100㌧の申し込みがあり、今月21~23日にかけて各地区で予定されている出荷協議会でも共販を呼び掛け、量の上積みを目指す。

 大島事業本部経済課は「共販量は120~130㌧ほしい。今期の場合、昨年の台風暴風被害による落果のほか、枝による傷果も目立つ。生産量が減少する見込みだが、共販量は前年実績(約88㌧)を上回りたい」と話す。そのために周知を図っているのが共販の利点の浸透だ。

 奄美市が主体となり奄振事業で整備された奄美大島選果場=同市名瀬朝戸=は、高性能光センサー式の選果システムが採用されており、この選果を利用すれば味のばらつきのない品質が良いタンカンが流通する。指定管理者として選果場を運用しているJAは「光センサー選果」を販売面でアピールすることで値段の高値安定を実現しており、品質の良いものが的確に評価され、それに基づいた値段で販売されている。こうした共販のメリットのほか、販売にあたっての箱詰はJAが行うことから、農家負担が軽減される。

 島内外を含めて品質の良いタンカンの流通につながる選果場利用は共販だけでなく、委託(選果利用のみ)も受け付けている。タンカンの出荷では地元市場にも持ち込まれている中、JA・行政の関係機関は「地元市場で取り扱いされるタンカンも選果場利用が普及してもらいたい。そのためには市場で値段をつける仲買人の理解がポイントとなる。『光センサー利用』のタンカンの品質の良さを前提に、利用していないものとの差を値段に反映できないか。それにより生産者の選果場利用が高まる」と訴える。選果場は奄振事業で整備された「公共の財産」。この意識にかかる。