東京奄美会・大江新会長インタビュー

東京奄美会・大江新会長インタビュー

故郷の感動が自分の行動の源泉。歴史を学び、IT化にも対応できる本心から参加を喜んでもらえる東京奄美会にと意欲を見せる

「歴史振り返り踏ん張る」
奄美2世から初の会長

 【東京】昨年120周年を記念した芸能祭を大成功に終えた、東京奄美会。同時に4年の任期を務めた森眞一さんが会長職を全うした。続いて第21代東京奄美会会長に選ばれたのが、両親が龍郷町出身の大江修造さん(80)だ。東京奄美会の会長に、「奄美2世」が就くのは長い歴史の中では初めてのこと。新たな伝統を刻むことになる、東京奄美会の顔となった心境などをインタビューした。(高田賢一)
 
 初めての奄美2世による会長職。率直なお気持ちを聞かせてください。

 「先達の立派な方々が務めてこられた東京奄美会の会長職ですから、とても緊張しております。両親とも龍郷町の龍郷集落出身。両親とも同じ集落というのは、大島でも珍しいと思いますよ。東京生まれで、東京育ち。初めて奄美の地を踏んだのは20歳の時でした。温かい島の人や豊かな自然の中で、時間の経過と共に、とても居心地が良くなっていきました。自身のルーツを感じましたね。特に美しい景色、青空、紺碧の海、山々に触れて深い感動を覚えました。この感動が奄美に対する自分の行動の源泉となりました。学生時代は夏休みになると島に帰って、祖母と父の実家で過ごしました。この時期が自分の人生で一番楽しい時期でした」

 その奄美とどのように関わっていく考えでしょうか。

 「故郷・奄美をどう盛り上げていくのか。世界自然遺産登録を見据えてのものもあります。東京奄美会がどういう形で貢献していくのかを見直すことは必要だと思っております。奄美市東京事務所などとも相談して、何をすべきかを見極めていきたいと考えております」

 どんな東京奄美会を目指しますか。

 「会に来てよかった、と本心から言ってもらえるような東京奄美会を構築していければと、思っております。歴史をもっと知っていくことの必要性も痛感しています。それを大河ドラマ『西郷どん』が改めて教えてくれたんじゃないでしょうか。ですから、そういうことを学べる機会も設けられたらいいですね。東京奄美会の歴史を振り返って、少しでも会員のお役に立てる会長として踏ん張っていく覚悟です」

 具体的なイメージなどはありますか。

 「東京奄美会は120年継続しているわけですが、これは大変なことで、奄美に対する熱い思いがあると同時に、時代の変化に対応できたことが、今日あるのだと思います。現在、社会は第4次産業革命下にあると言われ、この急変する社会にどう対応し、奄美に貢献していくかを考えるべきでしょう。たとえば、来年から小学校にプログラミングの授業が採り入れられるようにIT化が加速します。東京奄美会として、これにも、対応していく機会が持てればとも思いますね」

(おおえ・しゅうぞう)1938年3月31日東京生まれ。両親は龍郷町龍郷集落出身。石川島播磨重工業㈱(現IHI㈱)を経て、東京理科大学教授などに。専門は蒸留工学。気液平衡における塩効果の「大江モデル」で知られている。著書・論文多数。日本開発工学会会長。座右の銘は「初志貫徹」