2月1日以降の販売を

2月1日以降の販売を

台風被害による量・質への影響も「他のかんきつに比べタンカンはそれほど大きくない」と話す平井孝宜さん。収穫と販売では適期の重視を訴えている=奄美市名瀬の本茶団地にある平井果樹園で=

 

タンカン、一部で流通の動き
着色・食感不十分
「産地の品位問われる」

 

 昨年の台風被害によりかんきつ類の生産量が減少している中、一部でタンカンの流通の動きがある。着色・食感とも不十分で、タンカン本来の特性には程遠い果実。関係機関は「奄美大島はタンカン(垂水1号品種)の適地にも関わらず、台無しにする行為。産地としての品位が問われている」として2月1日からの販売の厳守を訴えている。

 関係機関によると、タンカンの流通が見受けられたのは本茶団地や福元地区などの山間部で栽培されているものではなく、下場(平場)で栽培されたものと見られている。今期のタンカンは酸切れが早い傾向にあり、収穫できると判断したようだ。

 流通を確認した関係機関は「果実の外観ではまだ青色が残り、かいよう病被害もみられるようなもの。果肉のじょうのう膜(袋)も硬く、サクサクして食感が悪かった。こうしたタンカンが流通してしまうと『奄美たんかん』の優れた品質への信頼が崩れてしまう。これでは産地づくりは前進しない。早出しは購入する消費者の信頼を失うことを生産者一人一人が自覚すると同時に、販売にあたっても特性が出る時期(2月以降)の対応をお願いしたい」と指摘する。

 今期のタンカンの生育状況について平井果樹園園主の平井孝宜さんは「台風被害による落葉で果実の肥大、着色に影響を受け、全体的に小玉傾向で、傷果もみられる。落果被害もあったが、他のかんきつに比べると生産量はそれほど低下していない」と語る。収穫時期については「4月下旬に開花があっただけに、それから300日を収穫の目安にしなければならない」。

 上場も酸切れが進んでいる。「このところの気温の低下で寒があり、いい条件だが、まだ本来の紅乗りではない。1月で収穫し、それが販売されてしまうと、垂水1号の早生品種である『平井Red』とのすみ分けもできなくなってしまう」(平井さん)。産地づくりの今後を危惧する。

 タンカン(垂水1号)は栽培の適地が限られている。県本土の南薩や屋久島は気温が足りず、徳之島や沖縄は寒が不十分。中間にある奄美大島は「最も適している」と言われている。奄美大島産のタンカンはじょうのう膜が薄く、その中にある砂じょうがつぶつぶしているため食感が良い。また、糖と酸のバランスもいい。こうした特性が表れる果実の収穫と販売があらためて求められている。