白亜の「金見崎灯台」解体

白亜の「金見崎灯台」解体

解体撤去を前に訪れ、47年間の労をねぎらい、別れを惜しむ島民の姿も=21日、徳之島町「金見崎灯台」

 

金見の風景の一つ白亜の灯台も見納めになる=22日夕

 

3月末「鉄塔」灯台へ
徳之島町 住民「残念。仕方ない」

 

 【徳之島】徳之島東北端に位置する「金見崎灯台」(徳之島町金見)の現施設(鉄筋コンクリート造)は、23日から解体撤去工事に着手し約47年間の役目を終える。奄美群島国立公園エリアの金見海岸が広がる同島屈指の風光明媚(めいび)な景観に溶け込んできたが、3月末までに「鉄塔型」灯台にバトンを渡す。

 金見崎灯台は1972(昭和47)年3月15日に設置・初点灯。施設自体は四角形のシンプルな造りで、頂部までの地上高は11・46㍍(海面から約42・3㍍)。付近を航行する定期フェリーや貨物船、小型漁船などの指標となっている。また、地元関係者らの要望で北北東約4・1㌔沖にある岩礁「トンバラ岩」の照射灯(昨年6月廃止)も併設していた。

 第10管区海上保安本部交通課によると、現施設の解体撤去は、「コンクリートのひび割れなど老朽化。台風など強風時の崩落など安全対策」が理由。22日までに鋼管ポール型の「仮灯」を設置。23日から解体工事を始め、来月上旬までに撤去する。

 その跡地に、3月末までに四角形のアングル式鉄塔型の灯台(地上高13㍍)を設置・点灯させる。施設の更新により新たに、付近の小型漁船の状況など安全も遠隔操作で見守る監視カメラも併設するという。

 金見崎は、同島観光コースの「金見ソテツトンネル」、ガラス細工のように輝く礁湖や国指定天然記念物オカヤドカリの〝一斉産卵〟でもおなじみの金見海岸(一部、奄美群島国立公園・第3種特別地域)など濃密な資源で構成。白亜の同灯台施設は、その希有(けう)な自然環境と風景に溶け込み、さり気なく自己主張してきた存在でもあった。

 現場には21日、灯台施設の解体撤去・更新を知った島民らグループが訪れ、名残惜しそうに見学した。

 世界自然遺産登録を視野に、地元有志で体験型観光事業を進めている一般社団法人「金見あまちゃんクラブ」の代表理事で、エコツアーガイドの元田浩三さん(64)は、「今の灯台は金見崎の自然環境に溶け込み、金見の風景そのものだけに、鉄塔に代わるのは残念。残して欲しかった。しかし、人命など安全面優先のためなら仕方ない」と肩を落とした。