クルーズ船寄港地検討協

「クルーズ船寄港地に関する検討協議会」が2日夜、瀬戸内町であり、委員らが船社による企画案等のプレゼンテーションを聴いた

米大手が非公開でプレゼン 瀬戸内町
反対代表「小型船誘致を」

 瀬戸内町が設置した「クルーズ船寄港地に関する検討協議会」(委員長・宮廻甫允=みやさことしみつ=鹿児島大学名誉教授)の第3回が同町役場会議室であった。この日は米大手クルーズ旅行会社「ロイヤル・カリビアングループ」と、委員の「奄美の自然を守る会」田原敏也代表による企画提案があった。

 同町の大型クルーズ船寄港地誘致は昨年8月、国土交通省が発表した「島嶼=しょ=部における大型クルーズ船寄港地開発に関する調査結果」の内容を受け、町が検討してきたもの。協議会は学識経験者や関係団体・住民組織代表者など計19人で構成される。昨年10月の第1回から同町のクルーズ船寄港地の最適な在り方について協議し、課題等を町長に提言することを目的としている。

 第2回同会で、具体的な協議進行のために、船社から企画案聴取を承認したことを受け、昨年12月7日から同月28までに、プレゼンテーションを希望する船社を募集してきた。同社のみが名乗りを上げ、委員以外に非公開でプレゼンを実施した。

 公開されないことについて、委員から「住民が納得するための協議会なのに公開されないのはおかしい」との意見も。これに対し事務局は、「情報配信についてはこれまで要求を続けてきたが、企業の機密性が理由なので踏み込めなかった。プレゼン後も要望があった場合は、船社に要請していきたい」とした。同社が2016年に龍郷町芦徳で寄港地開発を計画していたが、住民の反対などにより断念した経験を持つことから、委員の中からは疑念の声も上がった。

 配布資料などによると、同社側は▽レストランの設置▽地元ならではのツアー▽集落との間に植物の目かくしを作り、利用客を区域にとどめる―などの案を列挙。一方、船舶の規模や、具体的な事業内容などについては触れられなかったという。

 大型クルーズ船寄港地誘致に反対する田原代表は①開発より保全・保護を優先②経済よりもアイデンティティ―などを盛り込んだ「奄美大島観光7原則」を提言。「富裕層をターゲットにした小型クルーズ船を誘致すべき」などとした。

 この後、寄港地誘致の賛否についての意見で会は紛糾。宮廻委員長は「この会は誘致する、しないを決めるのではなく、課題や効果を考えて取りまとめるもの。賛成反対ではなく、それぞれの考えを共有するためのまとめ作業をすべき」。今後の議論の進め方については「検討させてほしい」とした。