現地研修では町内の展示ほ場を視察した
大島地区の肉用牛振興を図ろうと、2018年度「自給粗飼料品評研修会」が12日、喜界町役場多目的ホールであった。地元の飼育農家や畜産事業者、県・町行政、関係機関など約20人が参加。現在、島内からの出荷単価が好調なため、肉用牛経営の安定に向け粗飼料(牧草)確保、品質向上の取り組みで活発な意見を交わした。
県肉用牛振興協議会大島支部(会長・田中浩人県大島支庁農政普及課長)、奄美群島農政推進協議会、県大島支庁の主催。飼養管理技術の向上や飼料確保の推進を目的に研修会を開いた。
県大島支庁農政普及課の坂元文昭技術専門員は粗飼料確保の重要性について、母牛に与える飼料の栄養成分が子牛にも影響すると指摘。「優良な飼料を育てるには有機肥料を施すことが重要。安定した肉用牛経営は草づくり、土づくり」と強調した。
また県畜産試験場草地飼料研究室の西村健一室長は「輸入物を減らし、価格と品質の面からも自給粗飼料を積極的に栽培するべき」とし、奄美に適した暖地型牧草の新品種の紹介。またローズグラスの生育不良事例などもあった。
現地研修があり、町内の展示ほ場を視察。実際の牧草の生育状況を踏まえ、指導員が適正な栽培をレクチャーした。
意見交換では、飼料を自給するメリットを挙げ、産業振興の促進に向けた島内確保を呼び掛け。同町和牛改良組合によると、町内牛農家は約60戸で、出荷単価は一頭当たり平均68万円で好調とし、「二代目が後を継ぐケースが現れ、今後の展望は明るい」(関係者)。引き続き、産業振興の方策に取り組む考えだ。
ほ場を提供した宝利一郎さん(70)は「品種の構成を大事にしながら、農家の経営が維持できるよう協力したい」と語った。