全市町村、防衛省依頼に対応

自衛官募集
奄美の自治体 紙や電子媒体でリスト提供

 安倍首相が13日の衆院予算委員会で、自衛官募集に対する自治体の姿勢に触れ、「全自治体の6割以上から所要の協力が得られていない」と発言した。防衛省が求める情報提供について、与野党を巻き込んだ議論が交わされている。奄美の自治体では、奄美新聞の取材に対し群島12市町村が紙や電子媒体(データ)で提出していると回答。各担当者によると例年、提供依頼には応じており、「これからもその(協力する)立場に変わりない」との方針だ。

 防衛省は自衛官募集のため、毎年18歳と22歳の住所や氏名、性別、生年月日の情報を「紙または電子媒体」の様式で提出するよう、市町村に要請。高校・大学の卒業を迎える世代に効率的に募集を図る狙いがある。

 自衛隊法と同法施行令に基づくもの。同省によると2017年度は全国1741市区町村に対し要請したところ、紙か電子媒体での提出に応じたのは約36%(632自治体)。奄美の自治体はここに含まれる。

 一方、住民基本台帳の閲覧や書き取りのみを認めているのが約53%(931自治体)と全体の大半を占め、さらに過疎地などの理由から住基台帳の閲覧を求めていない「その他」は約10%(178自治体)に上った。

 自衛隊鹿児島地方協力本部は例年、県内43市町村に年明けから年度内に案件を通知。住基台帳から対象となる住民を抽出して提供。過去実績を踏まえ、奄美の今年の情報提供の見込みをまとめた=表=。

 過去の実績に基づく19年の奄美の自治体の提供数は、奄美市の2世代合わせ約600人が最多。他の自治体は20~180人程度。

 また提供形態は紙が10町村、データが2市町。対象数の多い自治体は奄美市などデータが主流。200人以下は紙ベースの傾向が見られ、ある自治体の担当者は「それほど量は多くないので紙での提供で対応している」。

 一方、安倍首相の大半の自治体を非協力的とした見解に、実際には閲覧が可能な分を含めると9割近くの自治体から情報を入手。数値の解釈を巡って、同委員会で指摘を受けた安倍首相は「抽出する情報量、自衛隊側による書き写し作業が膨大となることから、協力していないと考えるのが普通」などと反論。

 なお同本部は県内の提供状況について「コメントを控えたい」(広報)とした。