第138回「八日祭奉納芸能」

「とうばる芸者」の村の気概が弾けた第138回「八日祭奉納演芸」=17日、伊仙町西犬田布

「とうばる芸者」の気概発奮!
伊仙町西犬田布 親睦も深め合う

 【徳之島】伊仙町西犬田布集落(松岡洋仁区長、15世帯・276人)の生活館で17日、「御崎(みさき)神社」への第138回「八日(やうか)祭奉納演芸」がにぎやかにあった。伝統の「とうばる芸者」魂を大いに発奮させ、歌踊りや島口即興喜劇などを奉納し、和気あいあいと親睦も深め合った。

 御崎神社は、景勝地・犬田布岬(奄美群島国立公園・第3種特別地域)の園地内に鎮座する。戦時中の武運長久をはじめ交通安全、安産、豊漁祈願など西犬田布(通称・とうばる)集落住民の信仰地の一つ。「八日祭奉納演芸」は古来旧暦の1月8日に現地で行われていた。近年は関係者のみで参拝。奉納演芸は、住民多数が参加できるよう直近の週末、身近な集会施設(生活館)を会場に伝統を守っている。

 ちなみに西犬田布集落は、娯楽が少なかった時代、出張漫才や喜劇の上演など「とうばる芸者たちの村」として島中に名をはせた。約4年前には住民有志で「とうばる伝統文化保存会」(南郷秀一代表)も旗揚げしてそのDNAを呼び覚まし、島口即興劇「つぶるぬすどぅ(かぼちゃ泥棒の意味)」など喜劇も復活させた。

 生活館には今年も老若男女の住民たちが三々五々集まり、午後2時、子どもたちのオープニングダンス「ソーラン節」で開会。黒糖焼酎などをくみ交わして親睦を深め合いつつ琉舞「御前風(ごぜんふ)」や島唄、青年団の「稲すり節」、長老格の島口語り、舞踊パフォーマンス「ウギ節」、そして爆笑満載の「つぶるぬすどぅ」まで計18演目を延々と披露。「とうばる芸者」たちの心意気がはじけた。

 松岡区長(66)は「今年は小学生を含む若人たちの参加も増え、次代伝承への足掛かりにもなったと思う。とうばるの住民たちは、昔から親戚同士のように仲が良くまとまりも。約1カ月の(演芸)練習でも絆が深まっている」と満足そうに話した。