砂浜がなかった場所(左側)にも砂浜が形成されている小宿漁港の周辺。砂の港内への入り込み防止のため、漁船の前に大型土のうを40個設置
奄美市名瀬平松町にある小宿漁港周辺の砂が長年にわたって徐々に増え、これまでなかった場所に砂浜が形成されている。漁業者や地域住民らの話によると、20数年前から増え始め、北寄りの強風や台風の強風などの影響で港内にも砂が入り、漁船の係留に支障が出た。漁港の先にある突堤の周辺にも砂浜が形成され、船の係留に影響を及ぼしている。しゅんせつして造成された「航路が狭まっているのではないか」との指摘も出ている。また、平松町と浜里町の間を流れる小宿大川にも砂浜が形成され、両町主催の「浜平レガッタ」(舟こぎ競争)イベントが数年前に中止を余儀なくされ、影響を受けた。
漁業者らによると、小宿漁港の防波堤の沖側は、20数年前は砂浜の砂は少なかったが、現在は沖側に設置されていた多数の消波ブロックが増えた砂で埋没状態になっている。表面付近の砂が強風で港内に入り込み、砂が堆積し、係留に支障を来す状況になった。漁業者の要望を受けて奄美市は昨年、港内への砂の入り込みを防ぐため、大型土のうを40個設置した。
船の所有者は「船の前に砂がたまり、干潮時に船の底がつくこともあった。重機を使って少し砂を取ってもらったことがある」「防波堤上に砂がたまり、必要な物を運ぶ台車運行に支障が出たり、北寄りの強風が吹いたときには船内まで砂が入ってきて目が開けられないときもあった。防波堤上の砂は、自分でスコップを使って除去したり、仲間たちに手伝ってもらい除去してきた」と話した。
一方、港外に出ていく先にある突堤の角地部分にも徐々に砂がたまり始め、左右に広がっていき、現在は左右に砂浜が形成されている。
突堤には10数隻分の係留場が設置されていた。突堤の係留場方向(沖側)へもたまっていった砂は、船の係留に支障を与え、陸地側の係留場は砂がたまり過ぎて使用できなくなっている。
突堤から漁港内方向へ形成されていった砂浜の長さは、歩測で約140㍍にもなっており、出入港時の航路を狭めている。「特に夜釣りに出かけるときは、座礁しないように出入港に注意して船を操作している」(船の所有者)。
突堤から浜里町方向へ形成されていった砂浜も砂が増え続けている。
漁港の防波堤の沖側の砂浜には、死んだ枝サンゴ、死んだ丸がかったサンゴなどが堆積した場所がある。
漁港横には水路がある。増え続ける砂は、海側にたまり、水の流れを閉じ、影響を及ぼしている。
一方、小宿大川の砂も増え続け、河口から1番目の橋である「出浜橋」を越え、小宿保育園近くに架かる2番目の「浜平橋」に近づいている。歩測で長さは300㍍を超える。死んだ枝サンゴが堆積した場所もある。