一元的相談窓口設置へ

外国人との共生社会実現で県
県内全市町村に在留

県内で暮らす在留外国人は年々増加し、43市町村全てに在留している中、県は外国人との共生社会の実現へ新年度、一元的な相談窓口となる「多文化共生総合相談ワンストップセンター」(仮称)の設置に取り組む。4月からの改正出入国管理法(入管法)施行に伴う施策では、外国人労働者の受け入れで「かごしま外国人材活躍推進戦略策定事業」などを計画している。

鹿児島労働局まとめによると、県内の外国人労働者6862人(2018年10月現在)の国籍別内訳は、ベトナム2996人、中国1367人、フィリピン1264人など。最多のベトナムが4割強を占める。在留資格別内訳は、全体の63・3%を占める技能実習が最多で4343人。これ以外では定住者など身分に基づく在留資格1225人、専門的・技術的分野の在留資格696人。産業別内訳は、食料品製造業を中心とした製造業が3040人、農業林業996人、卸売小売業628人、建設業561人など。

今回の法改正で新たな在留資格として「特定技能」を創設。昨年12月に政府が策定した基本方針において、対象として14の産業分野を定めている。農業、飲食料品製造業、建設業のほか、人手不足が顕著な介護業、外食業での受け入れが期待されている。

法改正で推進される外国人労働者受け入れについて県商工労働水産部は「地域経済を支える貴重な人材として、地域社会の重要な構成員として本県に温かく迎え入れ定着を促進するため、外国人が安心して働き暮らせる環境の整備が必要」との見解を示している。県の新年度予算では、新規事業として▽外国人材活躍推進戦略策定▽外国人材活躍推進▽外国人材確保支援▽外国人材受入企画推進―を計画。県内における外国人材の現状の調査を実施し、外国人材の安定的受け入れを図り、活躍を推進するなど県の戦略を策定していく。外国人材を送り出す側とのネットワークも構築。適切な雇用環境を目的とした管理団体等が行うセミナーへの助成、総合窓口の設置なども行う。

県内に在留する外国人の実態は法務省が調査している。それによると18年6月現在、98の国・地域から9546人が在留。10年前との比較では7割程度、5年前と比べると5割程度増加しているという。国籍別では、ベトナムが最も多く2895人、次いで中国が2154人、フィリピン1985人で、この3カ国で全体の約74%を占める。在留資格別では技能実習が最も多く4055人で全体の約4割に。次いで定住者2369人、留学801人など。この三つの在留資格で全体の76%を占めている。

こうした実態を受けて県が目指すのが外国人との共生社会の実現。PR・観光戦略部によると新年度、「かごしま多文化共生社会推進事業」を新たに創設。在留外国人に対する情報提供や生活相談等を一元的に行う窓口を設置するほか、県国際協会や市町村など関係機関による連絡会議を設置し、地域における課題の共有や解決に向けて意見交換していく。また、日本語や、日本で生活する上で必要となる習慣や文化等について理解するための講座をモデル的に実施していく方針だ。