奄美警備隊

奄美市名瀬大熊地区に開設した「奄美駐屯地」の正門前(26日午後1時ごろ)

トラックや起動車などが並ぶ「瀬戸内分屯地」(26日午前11時ごろ)

他島に先駆けミサイル運用部隊配備
「防衛空白の解消へ」

 防衛省陸上自衛隊の奄美駐屯地(奄美市名瀬大熊地区)、瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子地区)が26日、開設した。同省が中期防衛力整備計画で進めている南西諸島での「防衛力の空白地帯解消」と位置づけ、奄美大島を拠点とした「奄美警備隊」を新たに編成。予定される同諸島他島に先駆けて地対空ミサイル部隊(奄美)、地対艦ミサイル部隊(瀬戸内)を配備。有事に対する防衛態勢の強化を図っている。

 奄美駐屯地(平田浩二・司令兼奄美警備隊長)には警備部隊230人、中距離地対空誘導ミサイル(中SAM)運用部隊60人など約350人。瀬戸内分屯地(古場太佑司令)には警備部隊130人、地対艦誘導ミサイル(SSM)運用部隊60人など約210人が同日付でそれぞれ常駐。敷地内には関係車両が並び、隊員が勤務する様子などが見られた。

 九州防衛局によると、部隊は陸自第8師団の指揮下で、有事や災害時の救助活動などへの迅速な初動対応に務める。「奄美大島は空港、港があり、部隊が任務や活動をする上で、本土と沖縄との中継拠点としても重要な意味を持つ」(同局)とした。

 2地区の施設建設は2017年度から本格化し、現在、駐屯地内の隊舎など主要施設の本体工事は完了。予定通り18年度中の開設を果たした。

 開設日は警備部隊など各部隊に対し隊旗授与。隊員らは通常任務にあたった。記念式典は30・31日に行われるため、初日は駐屯地・分屯地ともに静かなスタートとなった。

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 奄美群島にとって、大きな歴史となる陸自駐屯地の開設に各地で歓迎の声が聞かれた。

 朝山毅奄美市長は「国防という重要な責務とともに、災害発生時の迅速かつ献身的な自衛隊活動は市民の安全・安心の拠り所となる。隊員の安全な任務遂行を願い、地域との信頼と友情を育んでほしい」とコメント。

 鎌田愛人・瀬戸内町長は、地元や関係機関が行ってきた長年の誘致活動を振り返り、「町にとって新たな1ページを飾る出来事。これまでの活動が実を結んだことを喜びたい」とうれしさをにじませた。

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 同日は、沖縄県宮古島でも約400人規模の陸自部隊が発足。会見した岩屋毅防衛相は、南西諸島での防衛力強化と近隣国に対する抑止力を重視し、あらためて「空白状態」からの防衛整備を強調。今後は宮古・石垣島でも地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊配備が予定されている。