参院国土交通委でも可決

参院国土交通委でも可決

衆議院に引き続き改正奄振・小笠原法案を可決した参議院国土交通委員会(インターネット審議中継より)

 

 

付帯決議含め全会一致 29日本会議、成立へ
改正奄振法案

 

 衆議院本会議で可決後、参議院に送付された奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を集中審議する参議院国土交通委員会(羽田雄一郎委員長)が28日、開かれた。いずれの特措法も今年度末で期限切れを迎えることから、法の有効期限を5年間延長するもの。各会派委員の質疑後に採決があり、付帯決議含めて全会一致で可決した。29日に参議院本会議があり、改正奄振法案は参議院でも可決し成立する見通しだ。

 特措法の延長にあたり、これまでの5年間の評価と延長の必要性に関する質疑があった。石井啓一大臣は「奄振法は前回の改正で交付金制度を創設し、農林水産物の輸送費や航空路運賃の軽減により依然として人口流出は続いているが、社会減の幅は縮小傾向にある。また、世界自然遺産登録に向けた取り組みにより入込客数が着実に増加しており、2018年は過去最高の約88万人を記録した」と評価し、「引き続き両地域の自立的発展に向けて災害対策に万全を期すとともに観光等の豊かな地域資源を生かした産業振興、交通アクセスなど定住環境の改善といったハードソフト両面に取り組む必要がある」と述べ、法延長の必要性を強調した。

 課題については、▽奄美群島民の1人あたり所得が対全国比で60%にとどまっている▽生活保護率は全国の1・9%に対し、奄美は4・8%と高い―など経済面で本土との格差が引き続いて存在することを指摘。こうした課題を受けた対策として石井大臣は「現行法を延長し引き続き特別措置の実効性を高めるため、19年度予算の交付金においては成長戦略の推進にかかわる制度の拡充等、税制改正では帰島促進の特例措置の延長を補足している」などを説明した。

 世界自然遺産登録では観光振興につなげるため、外国人観光客を含む受け入れ環境整備に関する質疑があった。麦島健志国土政策局長は「(登録効果を)一過性とせず持続的なものにするため、受け入れ環境整備の計画的取り組みが必要。奄美らしい魅力を体験できる観光スタイルの構築、来訪者の満足度を高めるキャッシュレス化等の推進、環境整備を支援したい」と述べた。

 また、昨年の台風被害により局地激甚災害の指定を受けた伊仙町の復旧状況の説明も。町管理道路1カ所、河川同、港湾5カ所、漁港3カ所の被害に対し、現在、災害復旧事業が進められており、麦島局長は「本年中に完了する予定」と述べた。

 質疑終了後、討論はなく採決に。賛成の挙手は改正法案だけでなく、衆議院同様6項目にわたる付帯決議(各会派共同提案)も全会一致だった。