千葉・奄美時代の写生作品42点が並ぶ「田中一村の写生展」
創作の原点に迫る
5月19日まで
奄美の画家・田中一村が描いた写生や下絵、構想画を展観する企画展「田中一村の写生展」が3月31日から、奄美市笠利町の県奄美パーク・同記念美術館企画展示室で始まっている。千葉・奄美時代に描いた写生作品など42点を展示。絵の基本となる直筆スケッチなどを通して、一村の創作の原点に迫る。5月19日まで。
写生による企画展は、奄美群島日本復帰60周年を機に開いた2013年以来。普段あまり見ることの出来ない作品が一堂にそろう、貴重な機会となっている。
作品は、一村が好んだ鳥や魚の写生をはじめ、下絵や構想画などを多数展示。模索し続けた一村の視点やアイデアの源が並んでいる。
例えば、千葉時代では飼育の対象物を緻密に描く一方、奄美時代には、動く鳥を大胆に素早く描写。比較することで画風の変遷や生活環境の違いなどが垣間見える。
また、写生の片隅には多数の記録やメモが添えられ、こだわりの一端も。作品を丁寧に読み解くことで、一村の新たな一面を知ることができる。
前野耕一学芸専門員は「6年ぶりの希少な機会。奄美の人も気軽に訪れ、一村創作の原点に触れてほしい」と多くの来館を呼び掛けた。
開館時間は、午前9時~午後6時まで。観覧は無料となっている。