ナベヅルの迷鳥3羽 農繁期の農家ら癒す

少なくとも6日間以上留まっているナベヅルの迷鳥=3日午前、伊仙町西犬田布

飛来している3羽のナベヅル(大保富則さん撮影動画より)

伊仙町西部地区

 【徳之島】国指定特別天然記念物で絶滅危惧種のナベヅルの迷鳥3羽が、先月29日以降に伊仙町犬田布―崎原地区の畑地帯に飛来して3日現在も留まっている。農繁期終盤の農家たちを驚嘆させ、その優雅な姿で疲れも癒してくれる存在となっているようだ。

 同29日、スマートフォン内臓カメラで3羽の姿を動画で捉えていたのは、同町糸木名の農業大保富則さん(40)。同町崎原にある畑で農作業中、近くのバレイショ収穫済みの畑から「クヮッ」という独特の鳴き声が。「鶴のひと声を聞くのも本物の鶴の姿を見るのも初めてだった」と大保さん。

 過去の飛来時期と重なっている点では、出水市など国内越冬地からシベリア方面へ北帰行中、北風に押されて上昇気流に乗れずに迷い込んだ可能性も予想される―との声も。2日夕には別の住民が目撃して情報を提供。3日午前11時ごろ、本紙記者も西犬田布地区の収穫済みのサトウキビ畑で、エサの昆虫でも探しているような仕草で動き回っていた3羽を確認した。

 その近隣では、優雅な鶴たちの姿に癒されつつも無関心を装い、農作業にいそしむ農家たちの姿も。大保さんも「刺激を与えないよう見守って欲しい」と話していた。