慰霊と平和希求

慰霊と平和希求

第52回「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦没将士慰霊祭」(奉納の舞い)=5日、伊仙町犬田布岬

悪天候つき 第52回戦艦大和など戦没者慰霊祭
参列者全員で献花、冥福祈る
伊仙町犬田布岬

 【徳之島】第52回「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦没将士慰霊祭」(同実行委員会主催)が5日午後、伊仙町犬田布岬の同慰霊塔前であった。悪天候のもと各分野の来賓や地元住民など関係者約80人が参列。悲惨な戦争に駆り出され沖縄戦線に海上特攻の出撃途上、米軍機の猛攻で艦と運命を共にした戦没将士3737柱に鎮魂と平和希求の祈りを捧げた。

 戦艦大和(72、809㌧)を旗艦とする旧日本海軍第二艦隊の10隻は、第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年4月6日、沖縄の米軍に対する海上特攻で山口県徳山港沖を出撃。鹿児島の西南西約3㌔を南下中の7日午後、米軍艦載機の攻撃で大和をはじめ巡洋や駆逐艦など計6隻が撃沈され、乗組員・将兵合わせ3737人の若い命が奪われた。

 犬田布岬での慰霊祭は毎年4月7日に開催しているが、今年は県議選投開票日と重なったため引き寄せた。地元の西犬田布女性連会員たちの「あぁ犬田布岬」の奉納の舞いで開式。旗艦「大和」の沈没時刻とされる午後2時23分に全員で黙とうした。

 大久保明町長は慰霊の詞(ことば)で「今日の日本の目覚ましい発展は、皆さまの尊い犠牲の上にある。英霊よ、願わくは祖国日本をお守りください」と述べ、平和希求のシンボルを守り、慰霊祭の継続に協力を続ける関係者らにも改めて感謝。関係機関や団体代表らが玉串を捧げ、参列者全員で白菊を献花して冥福を祈った。

 会場には、同艦隊の元生還隊員の親族(犬田布在住)の聞き取りなど戦時関連を含め調査・研究入りしている東京大学大学院・社会専門分野博士課程の清水亮さん(27)=東洋大学非常勤講師=の姿も。遺族が高齢化し、枕崎の慰霊祭(平和祈念展望台奉賛会・第二艦隊追悼式)も終了した中、「地域で大規模な慰霊祭を引き継いでいるのが非常に興味深い。富山丸や武州丸もあるが、島の子どもたちや次の世代に、どうやって伝えられていくのか。平和を考える〝よすが〟として研究でお役に立ちたい」と話していた。