鹿大支援で実績3倍近く

鹿大支援で実績3倍近く

鹿大共同獣医学部の支援で奄美市のTNR実績が前年度比約3倍に(資料写真)

奄美市のTNR事業
19年度から5市町村事業一本化

 世界自然遺産登録を目指す奄美大島では、島内5市町村がノネコ(野生化した猫)の発生源対策として、ノラネコに不妊手術を行うTNR事業を実施している。奄美市が行った同事業の2018年度実績574匹は、鹿児島大学共同獣医学部の支援を受け17年度実績の3倍弱になることが分かった。19年度も支援は継続されノネコ捕獲排除と合わせ、TNR事業の継続で希少種保護を図る方針だ。

 奄美大島では猫がネズミ対策としてこれまで放し飼いにされてきており、集落などではノラネコが増加。地形が山と集落が近いために、ノラネコが森林内に入り野生生物を襲い一部が野生化してノネコとなることが懸念されている。

 奄美市が13年度に単独で、TNR事業を実施。14年度に大和村、15年度に瀬戸内町も開始され、16年度からは5市町村全体での取り組みが奄美群島振興交付金事業を活用して行われている。

 奄美市のTNR実績は、▽16年度=138匹▽17年度=200匹▽18年度=574匹。このうち鹿大支援によるTNR実施数は、6回で350匹に上る。

 市環境対策課によると、鹿大の獣医師派遣スケジュールに合わせて1週間前から同課職員などが捕獲作業を実施。地区別では、名瀬208匹、笠利107匹、住用35匹を捕獲。不妊手術は、奄美ノネコセンターを利用して実施した。

 同市との包括連携協定による鹿大TNR事業支援は、19年度も継続される。市は19年度当初予算に240万円を計上し、鹿大側は年度中に8回の支援を予定している。

 奄美大島ねこ対策協議会(事務局・奄美市環境対策課)は、ノネコ管理計画に定められた発生源対策(TNRと飼い猫の適正飼養の推進)に着実に取り組むとしている。なお19年度から各市町村のTNR事業が一本化され、専門機関に捕獲・手術・モニタリングなどを業務委託するという。

 事業費の5割を5市町村で均等割して負担。残りは、TNRの実施回数に応じて分担される。