生物多様性を実感して

生物多様性を実感して

国内希少野生動植物種で県指定天然記念物のオットンガエル

森の中で人間を警戒している様子のリュウキュウコノハズク

大和村林道内を観察 希少種カエルなど多数出現
4日「みどりの日」

 天皇陛下の代替わりに伴い、10連休となった今年のゴールデンウィーク。大型連休も後半になり、奄美各地ではレジャーを楽しむ観光客などでにぎわっている。4日は「みどりの日」だが、世界自然遺産に再推薦された奄美の自然に親しんでみてはどうだろうか。いろいろな生きものに出会える夜の観察もおすすめだ。

 「みどりの日」は国民の祝日に関する法律により、2007年から現在の5月4日に制定。「みどりの日」は、自然に親しむとともにその恩恵に感謝し豊かな心を育むことが趣旨になっている。

 今年2月「奄美・沖縄」の世界自然遺産登録は、登録基準(クライテリア)を満たすものを生物多様性に一本化し推薦書をまとめ直してユネスコに再提出された。今後は今夏~今秋にかけて、IUCN(国際自然保護連合)の専門家による現地調査が実施される。

 生物多様性は、島ごとの異なる多様な生物種がいることで保全上重要な地域とされる点を指す。世界でも奄美にしかいない固有種が多いことも、自然遺産の価値でないかとされている。

 今回、環境省奄美野生生物保護センターのアクティブレンジャー牧野孝俊さんに、夜の生きもの観察を依頼した。観察ルートは牧野さんが、仕事でよく調査する大和村の林道を利用した。

 この日は夕方近くまで雨が降り続き、夜間に生きものが十分に見られるか懸念したが杞憂だった。県指定天然記念物のアマミイシカワガエルやオットンガエル、アマミハナサキガエルなど希少種のカエル類を、多数観察することができた。その他にアマミノクロウサギや、リュウキュウコノハズクも目撃した。

 観察に際して路面上のカエル類に注意を払ったり、山の斜面にクロウサギがいないかを確認したりするなど時速10㌔ほどの安全運転で走行した。クロウサギが多く見られるという三太郎峠では、クロウサギ目当ての車両などにより希少種カエルのロードキル(輪禍)が多発しているからだ。

 牧野さんは「道路上に枯葉が多い所では、スピードを落とさないとカエルなどと見分けがつかない」と説明。「鳥類やほ乳類など、さまざまな生きものが繁殖シーズンで活動が活発になっている。道路にはいろいろな生きものが出るので、気をつけて観察してほしい」と話した。
                                           (松村智行)