まだ市民の認知度低く

心くんにやさしく声をかけるサポート会員の南保さん

ファミリーサポートセンター大型連休中の利用1件
「気軽に相談して」 利用者は「負担軽減助かる」と歓迎
5日「こどもの日」

 10連休となった今年の大型連休期間中、奄美市は仕事などのため、子どもを預けるところを探している市民に、「奄美市ファミリーサポートセンター」(奄美市名瀬幸町)の利用を呼び掛けたが、利用者は3、4日の1人のみとなっている。活動に関する市民の認知度はまだ低いままだが、利用者からは「子育ての負担軽減につながり、とても助かる」といった声も聞かれた。

 ファミリーサポート事業は、育児支援を希望する人と、援助できる人が地域で助け合う会員組織の有償ボランティア。現在、同サポートセンターには、支援を希望する「利用会員」353人、支援を行う「サポート会員」149人が登録。会員同士のニーズに合わせ、一時預かりや保育園、学習塾などの習い事送迎といった育児支援を行っている。

 3日午前9時、利用会員、羽根井洋美さん(43)の同市名瀬朝仁新町の祖父母宅を、サポート会員の南保=なんぽ=鶴代さん(55)が訪ねた。

 南保さんが羽根井さんの二男、心くん(5)に「おはよう。きょう一日楽しもうね」と声をかけると、心君は少し恥ずかしそうにしながら笑顔でうなずいた。南保さんは、事前の打ち合わせで心くんが、外遊びが大好きということを知り、この日は龍郷町の公園に出かけた。

 羽根井さんは、昨年6月から週末などに心くんの一時預かりとして、同サポートセンターの利用を開始。3、4日は、指導する新体操スクールの生徒たちの引率で鹿児島市に行くことになり利用した。羽根井さんは「子どもが小さいころは、祖父母に面倒を見てもらうことが多かったが、成長とともに、遊びも活発になってきた。公園など外遊びにも連れて行ってもらえるのでとても助かっている」と話す。

 羽根井さんの母、河野和子さん(79)も「2、3時間なら大丈夫だけど、長時間、面倒をみるのは体力的に厳しい。サポートセンターの方が見てくれるようになり、とても助かっている」と話す。

 利用当初は、安全面や子どもがなついてくれるか心配もあったという羽根井さんだが「利用するなかで、サポート会員さんたちとの信頼関係を築くことができた。仕事をしている女性にとって、なくてはならないサービス」と言う。

 3年ほど前からサポート会員として育児支援をしている南保さんは、「子どもの安全を第一にしながらも、子どもの性格や興味に合わせるようにしている。毎年、育児支援に必要な講習も受けているので、安心して預けてもらえたら」と話す。

 同サポートセンターは、2015年の事業開始以降、会員数、利用件数ともに徐々に増えている。開始当初は263件、469時間だった利用実績は、2018年度475件、1244時間にまで増えた。一方、利用者が固定化する傾向があり、同サポートセンターの木下章子アドバイザーは「ファミリーサポートの活動に対する認知度はまだ高まっていない。より多くの市民に活動を知ってもらうことで、幅広く利用されるようになれば。1人で育児を抱え込むことで、育児放棄や虐待などにつながることもある。まずは、気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。

 サポートを利用できるのは、生後2カ月から小学6年生までの子どもがいる世帯で、同センターに利用を申し込むと、支援できる会員を紹介してもらえる。利用には1時間600円~700円が必要となる。問い合わせは同センター(電話0997―69―3710)まで。

(赤井孝和)