「仕事ある」も倒産

「仕事ある」も倒産

奄美市では今年度も4月に企業倒産が発生。しかし全体的な景況から「企業の経営環境の悪化」とは想定されていない(写真は奄美市の市街地)

奄美市、今年度4月も1件発生

奄美の企業倒産は2018年度、奄美市・大島郡とも前年度との比較で増加が目立ったが、奄美市は19年度最初の月である4月も1件発生した。LCC路線等の開設や世界自然遺産登録に向けた動きで観光客の増加、陸上自衛隊の駐屯地・分屯地開設に伴う施設建設整備などで関連業種を中心に企業は「仕事はある」状況だが、人手不足などの問題から小規模企業では存続できないところも出ている。

企業倒産状況(負債額1千万円以上)は東京商工リサーチ鹿児島支店がまとめた。それによると18年度は、奄美市が前年度の1件から3件増の4件、前年度ゼロだった大島郡も4件発生した。

奄美市は4月に入って1件発生。業種は建設業関連で、倒産原因は「販売不振」だった。奄美の景況について同支店は「観光客の増加から宿泊業やレンタカー、飲食店など関連業種は業績が好調。また自衛隊施設整備に伴う建設業などの受注から、総じて景気は良く受注に困ることはない状況にある」と分析。18年度倒産が増え、今年度も発生したが「企業の経営環境が厳しい局面とは考えにくい。ただし仕事はあるが、対応する従業員が確保できないといった人手不足の問題は不安材料として存在する」と指摘。倒産企業は、業績が低迷しながらも持ちこたえてきたが「息切れ状態に陥り、これ以上やっていけないという諦めから経営の存続を断念するところもみられる。退場企業が存在するが、景気はいいだけに、やる気のある企業が新たに登場し活躍することも期待できる」としている。

なお、4月の倒産件数は県全体で6件、負債総額5億7300万円。倒産件数は、前年同月比4件減少、前月と比べても2件減少した。負債総額は、前年同月比3億1700万円減少、前月と比べても16億7800万円減少した。

地区別では、鹿児島市で4件、奄美市のほか、日置市でも1件発生した。産業別ではサービス業他で3件、建設業、製造業、小売業で各1件発生。6件のうち、5件が不況型倒産に分類される販売不振を原因とし、形態別では6件すべてが破産だった。