路傍彩る薄紅の小花

薄紅の花小花を可憐に咲かせる「コモウセンゴケ」(西康範さん撮影)

奄美大島南部で「コモウセンゴケ」

 梅雨時期に似合わない青空が広がる5月下旬。奄美大島南部の道路沿いの斜面で、コモウセンゴケの小花が見ごろを迎えている。路傍を彩る薄紅色の可憐な姿を25日、奄美市名瀬の西康範さんが撮影した。

 実はこのコモウセンゴケ、かわいらしい見かけと裏腹に食虫植物。『琉球弧・野山の花』(片野田逸郎さん写真・文)によると、日当たりが良く適度に湿った露出崖面に生える多年生の食虫植物。養分は小昆虫を消化して摂取するため、他の植物が生えないやせ地でも生育できる。腺毛=せんもう=の先のふくらみから粘液を出して虫を捕まえ、補虫すると腺毛は大きく曲がり、葉身も屈曲して虫を包んで消化する。

 分布は本州(宮城県)以南。花は淡紅色。白の小花をつける個体もあるが、西さんは「今年は白花の時期が少し遅れているよう。初めて撮影した場所だったが、斜面にびっしりと生えていた」と話した。