鹿大島嶼研・奄美分室 移転記念式典

今年4月に移転した奄美分室の見学会

式典で佐野鹿児島大学長があいさつ

「教育、地域研究の中核拠点に」
見学会や講演、活動報告も

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センターは1日、今年4月に奄美市名瀬港町の奄美群島大島紬会館内に移転した奄美分室の見学会と、同市内で記念式典を開いた。河合渓センター長は「開かれた施設として、積極的な研究報告や情報発信につとめたい」と述べ、引き続き地域に密着した活動と貢献に意欲を示した。

 同センターは2015年4月、奄美市内(旧名瀬保健所跡地)に教員が常駐する同大学の研究機関としては県内離島では初めて設置。今回の移転は同市の市民交流センター(仮称)建設に伴うもので、同館6階で今年4月1日からオープン。特任教授、研究員が在籍している。

 同市名瀬の集宴会施設で開催した式典には大学や自治体関係者など約70人が参加。朝山毅市長、松本俊一・県大島支庁長は「大学の研究機関としての存在意義は大きい」とそれぞれ祝辞した。

 佐野輝学長は最新の研究成果を通した教育、地域研究する中核拠点としての位置づけを強調。「県内島嶼部を代表する奄美の地で、地球規模の視野で地域特性を考える『グローカル』な視点を持った研究に取り組みたい。今後も関係機関と連携ながら、地域貢献を果たしたい」と語った。

 移転記念イベントを開催したこの日、分室見学会には来場した市民が研究成果の掲示物や標本などを見入った。

 式典後の基調講演では同センターの高宮広士教授が「奇跡の島々先史時代の奄美群島」をテーマに講話。面積に乏しい奄美・沖縄諸島で先史時代、狩猟採集民が長期間存在したことは世界的に珍しく、さらに「狩猟採集から農耕に移行したケースはおそらく奄美・沖縄だけ」と指摘。「自然と調和した島嶼文明」としての価値を訴えた。

 そのほか、在籍スタッフによる分室の研究、活動報告もあった。