黒糖焼酎も輸送コスト支援事業の対象となることで、本土での販路開拓にプラスとなりそう(資料写真)
改正奄美群島振興開発特別措置法に基づき、県は今年度から2023年度まで5年間の振興開発計画を策定したが、交付金を活用しての輸送コスト支援事業では対象品目が拡充され、黒糖焼酎など10品目の加工品・原材料が新たに追加された。輸送費の支援により、奄美を代表する特産品である黒糖焼酎の本土での販路開拓、コスト削減に役立ちそうだ。
改正奄振法が成立したのを受け国が基本方針を策定したのに続き、県が新たな振興開発計画を5月31日に策定。この間の奄振事業は経過措置として4月1日から従来のものは進められてきたが、交付金事業のうち2事業(輸送費支援事業の拡充、航空・航路運賃軽減事業の拡充)は例外となっていた。
農林水産物等輸送コスト支援事業の拡充の方は、県計画策定日から新たな品目が対象に加わった。離島振興課によると、奄美群島で生産され、本土へ出荷する加工品(1市町村5品目まで)が対象となり、品目は黒糖焼酎、粗糖、飲料水、産業機械、電機機械、乾燥アザミの六つ。原材料等は、群島外に出荷される農林水産物の生産に必要な原材料等(1市町村3品目まで、移出対象1品目に対する原材料1品目)で対象となるのは、配合飼料、化成肥料、段ボール、種子の4品目。
輸送コスト支援で黒糖焼酎も対象に加わったことについて、県酒造組合奄美支部の乾眞一郎支部長は「商品によって差があるが、船舶を利用した海上輸送費の上昇により県本土以北の全国と、地元とでは小売価格は1割弱ほどの差がある。輸送コスト支援により助成が図られることで価格への転嫁が抑制され、本土での販路開拓で弾みとなる」と歓迎。本土のメーカーに比べ離島のメーカーは海上輸送費負担が経営面を圧迫していたなか、乾支部長は「黒糖焼酎は奄美を代表する特産品。産業として守るため、輸送費支援で奄振の活用を業界としては求めてきただけに、要望が実現し、コスト削減により各メーカーの経営面でプラスになるだろう」と語った。
なお、航空・航路運賃軽減事業の拡充は、奄美群島外の学校等の在学者で、群島内の住民に扶養されている大学生等が「準住民」として新たに運賃軽減の対象となるもの。離島割引運賃による「鹿児島―奄美群島間を結ぶ路線」を利用した場合に運賃が助成されるが、航空会社や船会社との関係から実施時期は7月中旬あたりになる見通しだ。