魚のすみかづくり 海底に大規模造成

魚のすみかづくり 海底に大規模造成

奄美大島と徳之島の沖合に設置する「スーパーSK」など大型魚礁の製作現場(写真は奄美市笠利町宇宿漁港)

奄美大島島内でブロック製作中
県整備事業 6月末までに完了予定

 奄美群島の近海に魚類の漁場をつくりだそうと県は、2018年度から「奄美地区水産環境整備事業」を5カ年計画で進めている。総事業費は約12億5千万円を計上。19年度は奄美大島と徳之島の沖合に高さ約7~21㍍規模の構造物を海底に配置した「魚のすみか」を造成。形成された魚礁群による集魚効果が期待されている。

 県は現在、水産振興基本計画の中で、資源管理と持続的利用を目的に「つくり育てる漁業」を推進。今年度の設置事業は18年度事業の繰り越し。魚類の生態に応じた「えさ場」や「休息場」機能を持った鋼材やコンクリート製の人工構造物を設置する漁場形成を計画した。

 群島内で県事業による漁場造成は、カツオやマグロ類など回遊魚を対象とした浮魚礁が主流だが、定期的に沈設事業にも着手。今回、奄美大島では奄美市住用町の沖合水深100~110㍍、徳之島では徳之島町沖水深70~90㍍に、鋼製やコンクリートタイプの魚礁を組み合わせて造成。部材や乱積みで高さが異なるブロックを数百㍍間隔で配置してカツオやアジ類の回遊、ブロック内部に瀬物やタイ、イカなどの集魚機能が見込まれている。

 2地区に設置する高さ20㍍の「スーパーSK魚礁」は、鋼材とコンクリート部材を組み合わせたハイブリッド魚礁。県漁港漁場課によると、天然礁並みの集魚効果があるとし「効果的な漁場造成を展開し、地元の漁業振興につなげたい」と今後に期待を示している。

 これらの魚礁は6月から沈設工事を開始し、同月末までに完了する予定。