児童虐待20件増の110件

「面前DV」に伴う心理的虐待が大幅増
「地域全体で見守る意識を」
大島児童相談所管内18年度

 県大島児童相談所が(池田洋一所長)がまとめた2018年度の管内子ども虐待相談状況によると、虐待件数は110件と前年度より20件増えた。県全体の虐待件数は、県内3児童相談所(中央、大隅、大島)1131件と市町村取扱388件の計1519件で、過去最多だった17年度の1148件を大幅に上回った。同児童相談所は、「こどもの目の前で配偶者に暴力を振るう『面前DV』に伴う、心理的虐待が増えたことが増加の主な要因」と分析している。

 同児童相談所管内で認定された児童虐待の種類別内訳は、面前DVや子どもの心を傷つける言動を繰り返すなどの「心理的虐待」86件(前年度比17件増)、「ネグレクト(育児放棄)」12件(同10件増)、首を絞めたり戸外に締め出すなどの「身体的虐待」11件(同8件減)、「性的虐待」1件(同1件増)。

 心理的虐待の多くは、DV被害の通報を受けた警察が、その後、児童相談所に通告したケースが多く、相談別経路でも、警察からの通告が62件と最も多かった。また、近隣・知人からの通告も15件あり、同相談所の池田所長は、「子どもの虐待死事案などの報道を受け、子どもの泣き声や保護者の怒鳴り声を聞いた住民からの相談が増えている。地域全体が虐待に対し、高い関心を持つようになっている」と指摘した。

 主たる虐待者は「実父」が48件、「実母」が44件、「実父以外の父親(養父)」が5件、親の交際相手や内縁関係者など「その他」が13件となっている。

 虐待を受けた子どもの年齢別内訳は、3歳未満16件、3歳以上の未就学児22件、小学低学年26件、小学高学年31件、中学生10件、高校生以上5人だった。

 池田所長は「虐待の早期発見と適切な支援、救出には、警察や自治体など関係機関との連携は欠かせない。虐待の未然防止のためにも、地域全体で子どもを見守る意識を持ってもらえるよう、児童相談所としても取り組みを強化したい」と話した。