新首長インタビュー

無投票で2期目当選 鎌田瀬戸内町長
財政改善も並行「より強固」へ
住環境向上、希望に満ちたまちづくり

 任期満了に伴う瀬戸内町長選は、現職の鎌田愛人氏=無所属=が無投票で2期目当選を果たした。魅力あるまちづくりを掲げ、町民と関係機関が一体となった「チームせとうち」の成果の検証、今後4年間の新たな船出にどう取り組むのか。無投票当選から一夜明けた5日、鎌田氏に町政への意気込みを聞いた。

 町制施行初の無投票での当選。一夜明けて。
 他候補者が出ず、結果的に無投票となったが町民すべてから2期への信任を得られたとは考えていない。公約実現が一層求められるため、あらためて責任の重さを感じている。

 1期目の公約達成率と4年間を振り返って。

 創生マニフェスト8項目を掲げたが、冠水対策の公共下水道整備、請・与路島の廃棄物処理など未着手の案件は5割程度で全体達成率は74%。トップが謙虚な姿勢を示し、公平公正な行政運営が求められた。前回選のしこりを解消するためにも人事面の配慮、公共事業の適正発注を推進した。また陸上自衛隊分屯地の町内開設を果たせたことは大きい。

 今後重視する政策は。

 農業振興のため、「奄美せとうち地域公社」による加計呂麻島での黒糖生産拡大やキビ酢販売、パッションフルーツなど果樹生産に力を入れたい。特に加計呂麻・請・与路島の離島振興を重視した光ブロードバンド整備や瀬相港ターミナルビル・役場支所建設を推進していく。

 西古見集落のクルーズ船寄港地開発について。

 地元と民間会社と調整中。提言書を見た上で最終判断したい。10、20年先を見据え、町にとって良かったと思える結果になるような結論を出したい。

 2期目に向け、「より強固なチームせとうち」を掲げている。

 長期振興計画の着実な実行。チームを構成する町民・郷友会・役場職員の連携が大切で、まずは職員の資質向上、SNSによる積極的な情報発信につとめたい。当面の目標として、現在の借金(地方債残高94億円)を80億円に圧縮し、貯金(積立金19億円)を25億円に積み上げたい。財政改善を並行しながら、マニフェストの100%達成のため「より強固」な姿勢を心掛けたい。

 人口減少、高齢化が深刻化している町の未来像は。

 町民の意識調査アンケートで、「住み続けたい」意見が6割だった。これを8割に引き上げたい。子育てや定住政策、産業や雇用創出など町民にとっての住環境向上を図り、住民が希望に満ちたまちづくりのための町政を進めていく気持ちを新たにしている。

(聞き手・川内博文)

(かまだ・なるひと)町長就任まで地元の古仁屋相撲クラブで子どもたちを指導。教え子で、地元後援会長を務める大相撲幕内力士「明生」の活躍に目を細める。健康づくりの一環で移動は極力、自転車を利用。モットーは名前の由来となった「敬天愛人」。いその夫人(57)との間に子どもは5人で、孫は3人。55歳。