「芭蕉布」継承学習 2年度継続で専念

2年越しで「芭蕉布」の継承学習を続けている徳之島高総合学科・生活科学系列の3年生たち=20日、伊仙町で

将来への“人生訓”にも結びつける
徳之島高・生活科学系列3年生ら

 【徳之島】徳之島高校の総合学科・生活科学系列の3年生6人は、地域の伝統文化の継承学習で、「芭蕉布」の知識・技術習得に2年継続で取り組んでいる。伊仙町芭蕉布伝承研究会(武島すみ子代表)=同町目手久=が指導協力。生徒たちは、繊細で根気のいる地道な実習を通して先人たちの知恵と労苦も学び、将来への〝人生訓〟にも結びつけていた。

 芭蕉布は、奄美・沖縄地方で6百年以上の伝統があるとされ、軽くて涼しいのが特徴。同校生活科学系列3年生たちは、芭蕉布の特徴や変遷、制作の技法などを学ぼうと昨年12月から毎月2回約6時間ずつ、同町目手久の武島代表宅の工房で校外実習を続けている。

 工程は、芭蕉の茎の皮を剥ぐ「うーはぎ」、ガジュマルの灰を入れて煮る「うーだき」、竹ばさみでしごいて繊維だけを抽出する「うーびき」。干して乾燥させた繊維に水を含ませ繊維を結ぶ「うーうみ」。結んだ繊維(糸)を棒に巻き付ける「ちんぐまき」(ねん糸)。機(はた)織り機を使っての「織り」―と繊細で根気のいる工程が数カ月にわたって続く。

 20日午前9時半~午後3時にかけてあった校外実習は計約14回目。生徒たちは心地よい涼風が吹き抜ける工房で「ちんぐまき」と「織り」に専念していた。生徒の琉友希恵さん(17)らは「皮を剥(は)いで煮た後に、余分なものをそぎ落として繊維を取り出すのに一番苦労。昔の人はすごいと思った」。また、「武島さんの『芭蕉の糸は切れても、何回でもつないでやり直せる』との言葉に、自分の人生にもつながると思った」とも。

 武島さん(68)は「ここだけでは時間が足りず、宿題に持ち帰って頑張ってくれた。地味な仕事だが、工程の全てに感動してくれる姿に元気をいただき、(伝承活動を)続けなければとも思った」。「将来、この子らが『自分たちのふるさとに素晴らしい織物があった」と思い出し、細々とでもつながっていけばと思う」とにっこり。

 担当の吉川真亜沙教諭によると、最終的にはコースターや名刺入れ、タペストリー、ミニバックなど作品に仕上げる。同じ総合学科の生物生産と情報ビジネス系列生の作品と組み合わせた展示販売も計画。全国高等学校総合学科研究大会鹿児島大会(11月、鹿児島市)出品も目指すという。