奄美大島ではムラサキカッコウアザミなどの外来種駆除が進められており、外来種対策条例の候補となる種の選定が待たれる(資料写真)
指定外来動植物の取り扱いを規制する、県の被害防止条例が制定され今年度施行したが、現在、被害防止基本方針が検討されている。候補となる種を選定する考えで、年末までには最初の指定が行われる見通しだ。
3月に制定され、4月1日施行の「指定外来動植物による鹿児島の生態系にかかわる被害の防止に関する条例」。県内に定着(そのおそれのある)し、在来種の捕食など直接的な影響だけでなく、その生息生育環境の悪化や在来種との交雑など生態系への被害を生じさせている動植物を外来種指定するもの。
こうした指定外来動植物を県条例では地域を定めて指定し、▽飼養等(飼養・栽培・保管・運搬)をする人は、逸走・逸出しないように適切な施設に収容▽規制地域内で、施設外で放出等(放出・植栽・は種)をしてはならない▽販売を業とする人は、購入しようとする人に対して、指定外来動植物であること・飼養等に関する義務などの説明を行わなければならない―といった規制を掲げている。知事は、指定外来動植物が逸走・逸出しないよう適切に飼養等を行っていないと認められる人または販売を業とする人に対して、必要な助言または指導をすることができる。
外来種対策条例は開会中の6月定例議会の一般質問で取り上げられ、種の指定までのスケジュールついて藤本徳昭環境林務部長が答弁。それによると現在、同条例に基づき指定外来動植物による生態系被害防止に関する基本的な考え方、防除に関する基本的な事項を定めるため指定外来動植物被害防止基本方針を検討中。今後、同基本方針を定めた上で外来動植物の分布状況、在来生態系への影響、効果的な防除方法について学識経験者などからの意見を聴取し、候補となる種を選定していく。この作業後、県環境審議会への諮問、指定案の告示等の手続きを経て、藤本部長は「本年末を目途に最初の指定をしたい」と述べた。
外来動植物の防除について県は、国・県・市町村だけでなく「県民、事業者、民間団体等が適切な役割分担のもと侵入予防や定着種の駆除に取り組むことが重要」という考え。民間活動との連携については条例でも「県は、被害の防止で自主的な行動について必要な助言、指導、その他の支援を行う」と明記していることから具体化。わかりやすい防除方法を記載したマニュアルづくりを進めているほか、防除に関する必要な助言・指導を行う外来動植物対策推進員を配置している。