第32回トライアスロンIN徳之島

号砲に合わせ濁った海に飛び込む選手ら(23日午前8時天城町ヨナマビーチ)

総合は男女とも連覇
奄美勢、岸田(奄美市)総合3位に

【徳之島】2019「トライアスロンIN徳之島大会」(同実行委員会主催、徳之島3町共催)は23日、悪天候によりコース距離が短縮されたスイムを皮切りにスタート。午前8時、天城町ヨナマビーチで号砲が鳴り、選手らは雨風に打たれながらもコースに繰り出した。悪天候が選手らの気力と体力を奪う中、起伏の多い徳之島を1周するバイクコースなどを経てゴールの同町総合運動公園陸上競技場を目指す過酷な戦いに。総合では男子・大島仁(27)=福岡県=、女子の部は西内真紀(44)=兵庫県=がそれぞれ連覇を飾った。奄美勢では岸田賢吾(39)=奄美市=が総合3位に入るなどの実力を見せつけた。

 

スタート会場となったヨナマビーチのスタート前の天候は雨。気温は22・9度で、湿度96・3%、北東の風3㍍。水温は23・9度。5度の号砲に分け、次々に濁り切った海に飛び込んだ選手らは600㍍を泳いだ後、砂浜を駆け上がり、バイクに乗車した。

徳之島をほとんど1周する75㌔のバイクコースは強風にさらされ、選手らが苦戦する姿も見られた。沿道からは住民らが太鼓などお馴染みの応援グッズのほか、鍋のふたをお玉でたたくなどオリジナリティあふれる応援と「がんばれ」の掛け声で選手を鼓舞した。またエイドステーションではボランティアスタッフらが栄養補給などでサポートした。

ラストスパートとなるラン(20㌔)は同公園総合競技場をスタートし、大津川集落まで南下し再び北上。同公園多目的広場のフィニッシュゲートではゴールテープを切った選手らが安堵や疲労、達成感など三者三様の表情を見せていた。

得意のラン、後半で逆転
総合男子・2連覇の大島(福岡県)

ライバル・篠崎に競り勝ち、二度目の出場にして2回目の優勝の座に就いた大島仁(福岡県)。今回はバイクの練習に重点を置いてきた。悪天候に見舞われ、「雨粒が痛かった」、「風の向きがコロコロと変わった」と今大会の〝やりづらさ〟も目立った。

「バイクが強い相手が多い。大きく離されないように意識した」と戦略を語る。実際バイク終了時点では篠崎に次ぐ2位。得意のランについては「風が結構あったので、後半まで我慢。見えない焦りもあったが…」。ラスト7㌔地点で、先頭篠崎を先導する白バイの姿をとらえた後、ラスト3・5㌔で篠崎を追い抜き、そのままの勢いでゴールまで突き進んだ。

雨による寒さは全く気にならなかったようで、「今回はやりやすいレースだった。ランで太陽が照った去年のほうがきつかった」と振り返る。前回大会はスイムなしの〝デュアスロン〟に、今大会はスイム距離短縮となったことについて、過酷なレース終了直後にもかかわらず、「私が来たらトライアスロンができなくなるのかも。でも来年はウミガメと一緒にスイムができれば」との冗談で、周囲の笑いを誘う鉄人の余裕を見せた。

 

「焦る心捨て、無に」
総合女子・西内(兵庫県)制す

「水泳が短かったので、アドバンテージが取れない…。ランは速い人が多いので、バイクで飛ばそうとしていたらメカトラブルが…」。多くのアクシデントに見舞われながらも、女子総合で二連覇を果たした西内真紀(44)は「次は3連覇を目指したい」とすでに次の目標を見据える。

バイクのラスト30㌔の地点で、特定のギアが使えなくなるというトラブルが発生し、下り坂でも全力疾走が厳しい状態となった西内。「自分のことだけ考えて、焦る心を捨てて〝無〟にしてランに移れた」と今回の勝因と分析する。

出場は4度目。2位2回。前回大会では優勝だったが、「水泳が得意なので、デュアスロンはやったこともなかったし、一番やりたくない種目。今回やっとトライアスロンで優勝できた」。

夫・洋行さん(43)と息子・星七くん(5)もともに来島。「息子もそうだが、雨の中でも地元の人が出てきてくれて応援してくれたのが力になった」と笑顔を見せる。ゴールテープも星七くんとともに切り、家族3人で大会を満喫する姿を見せた。