朝崎郁恵さん、奄美パークで恩返しコン

朝崎郁恵さん、奄美パークで恩返しコン

心の奥底に触れる唄声を響かせ、故郷に感謝の思いを届けた唄者の朝崎郁恵さんの「奄美への恩返しコンサート」

 
 
心に触れる唄声で故郷に感謝

 

 魂を揺さぶる声、深い言霊――。奄美大島南部のシマ唄「ヒギャ唄」の第一人者・唄者の朝崎郁恵さん(83)の「奄美への恩返しコンサート」(一般財団法人結いの島主催)が29日、奄美市笠利町の県奄美パークイベント広場で開かれた。朝崎さんは600人を超えるファンを前にステージで「奄美で生まれ奄美で育ったことを誇りに唄い、ようやく(皆さんに)お会いできた」とあいさつ。その心の奥底に触れる唄声を響かせ、故郷に感謝の思いを届けた。

 朝崎さんは、1935年・瀬戸内町花富生まれ。25歳で上京し、その国際的にも評価の高い歌声で、奄美シマ唄と日本、世界の架け橋を長らく担ってきた。

 恩返しコンサートは、2017年から始まり、加計呂麻、喜界に続き3回目。令和初のステージとなった朝崎さんは「ようやく唄で恩返しができる」とあいさつ。「シマ唄は私の命。ご先祖が残した唄を聴いて、一人ひとりが唄い継ぐことを願っている」と述べ、思いを唄に乗せた。

 イベントは、伊津部小学校さざ波バンドが演奏後、アカペラによる「長朝花節」で開幕。チヂンを打ちながら朝崎さんが登場すると、「郁恵さ~ん」などと大きな声が飛び、大勢の歓声と拍手で歓迎を受けた。

 ステージでは、お馴染み「ヨイスラ節」や「千鳥浜」、NHKのBS番組・新日本風土記のテーマ曲「あはがり」など6曲を披露。弟子のタナカアツシさんも三味線で朝崎さんをサポートし、自身のヒット曲「大島エレジー」を歌うなど会場を盛り上げた。

 最後は、会場を巻き込んでみんなで六調。朝崎さんは「また帰ってきます」と手を振り声援に応えた。

 朝崎さんの故郷・花富から4人で駆け付けたという西重子さん(74)は「懐かしい唄声をまた聴くことができてよかった。いつまでも元気で唄い続けてほしい」と涙を流し喜んだ。