鹿児島市内で「届け出報告」

3陣営、災害・住民不安に配慮

 第25回参院選挙が4日、公示された。鹿児島選挙区(改選議席数1)には、無所属新人で元霧島市長の前田終止氏(71)、無所属新人で、野党統一候補の行政書士、合原千尋氏(39)、自民党現職の尾辻秀久氏(78)の3人=届け出順=が立候補した。前日まで続いた大雨による県内での災害発生を受け、各陣営は第一声の集会に積極的な動員を掛けず、住民生活への影響に配慮した「届け出報告会」に振り替えた。立候補者は経済対策や10月予定の消費増税、年金問題の是非など公約と政治姿勢を訴えた。

前田終止候補

「地方創生ファースト」
前田氏陣営

 午前9時すぎ、鹿児島市の鹿児島中央駅「若き薩摩の群像」前広場で、自発的に集まった支援者の前での第一声。前田候補は「この『若き薩摩の群像』の前で、国政に向かい皆さまに訴えることができることを心から感謝したい。3日までの記録的な豪雨で、きょうの出陣式は涙をのんで中止とさせてもらったが、一人でも来てもらった人に思いの一端をわずかな時間でも伝えたい考えだ」と呼び掛けた。
 行政の要点として「国や郷土の安心・安全が大事。災害などに対する危機管理、しっかりした対応が問われる」と強調。これまで培った地方行政の経験を生かし、「議員バッジを与えていただけるなら、即戦力として地方の声をしっかり聞いて、迅速に対応することを約束したい。地方創生ファーストの姿勢で全力で頑張りたい」と訴えた。
 最後に支持者らと拳を握りながら、「キバっど!」を三唱し、中心市街地の天文館を皮切りに各所へ選挙カーで出発した。

合原千尋候補

「政治を国民の手に」
合原氏陣営

 午前9時10分ごろ、鹿児島市荒田の選挙事務所で出発式。連合鹿児島会長の下町和三・選挙対策委員長や、野党統一候補ということで立憲民主党の川内博史衆院議員、国民民主党選対委員長の岸本周平衆院議員も応援に駆けつけ激励した。

 合原候補は「これまで支援してくださった方に感謝したい」と第一声。「安倍政権に退陣いただき、政治を国民の手に取り戻す戦いが始まった」と気合を入れた。

 くも膜下出血で倒れた父親を16年間介護しながら働いた経験をもとに、「今の介護制度や医療制度が後退することがあってはならない」と強調。「介護される人だけでなく、介護する人のことも考えた制度設計を考えていきたい」と持論を述べた。

 安倍政権の長期化で民主主義の基盤が揺らぎ、人権意識の後退にも危機感を示し「鹿児島の声、女性の声を政治に届けたい」と意気込みを述べた。最後に「GO、GO、ちひろ! 勝つぞ!」と気勢を挙げ、遊説に出発した。


尾辻秀久候補

「負けられない戦い」
 尾辻氏陣営

 6期目を目指す尾辻候補は午前9時ごろ、鹿児島市大黒町の選挙事務所駐車場で立候補表明式を開いた。集まった関係者や支持者を前に、「困っている人を見つける、大事な『虫の目』の姿勢を最後まで貫く。負けるわけにはいかない今回の選挙に全力を挙げて戦う」と決意を示した。

 式場には国会議員をはじめ、公明党県本部の成尾信春代表、県議会議員、党友好団体の代表者らが来場。池田琢哉後援会長は「弱者に寄り添った政治姿勢と理念を持った政治家。県民の安心な暮らしを実現できる力を発揮させるため、国政の場に再び送り出そう」と呼び掛けた。

 マイクを握った尾辻候補は「これまで受けてきた、多くの情けへの恩返しをしたい。我が党の姿勢も問われており、一つ一つ丁寧な政治に取り組みたい」と再選に意欲を見せた。
集まった支援者に見送られながら、尾辻候補は選挙カーに乗り込み、鹿児島市内を中心に企業や団体へのあいさつ回りに出発した。