奄美大島行動計画の進捗状況やモニタリング計画案などについて意見が交わされた
県自然保護課は23日、奄美市名瀬の市役所会議室で2019年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議第1回奄美大島部会」と同「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会第1回奄美大島自然利用部会」を開いた。モニタリング計画案や、奄美大島行動計画の進捗=しんちょく=状況などについて協議。今秋予定のIUCN(国際自然保護連合)の現地調査や来年5月ごろの勧告、来夏の世界遺産委員会での審議といった一連の流れを確認し、登録に向け気を抜かず取り組んでいくことを申し合わせた。24日には、天城町で徳之島部会が開かれる。
世界自然遺産登録に向けたスケジュールなどについて、環境省沖縄奄美自然環境事務所の速水香奈国立公園課長が配布資料をもとに説明。「秋にもIUCNの現地調査があり、前回同様に地元との意見交換会を持ちたい」と話した。
奄美大島行動計画の進捗状況について、県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の前田尚大参事付が追加されたものや課題などを解説。質疑で空港や港など水際での密輸対策を問われ、同事務所の皆藤琢磨自然保護官は「水際対策は困難で、港の場合は船の事業者と話し合いを持ちたい」と回答した。
モニタリング計画は、遺産価値が守られているかどうかを適切に判断し、保全状況に評価を下すもの。具体的には▽リスク要因=外来種の侵入、観光利用の環境負荷など▽危機要因=定着している侵略的外来種の悪影響、ロードキル、採集圧―などを抽出し、データ収集と適切な科学的評価を行う。
空港などでの密輸防止について、環境省から写真を利用するシステムやアプリが開発中と発表。「環境省では写真を撮り照会すると関係機関から回答が得られる『種のアシストシステム』や、将来的なものでは㈱NTTドコモの協力で『種同定アプリ』を開発している。普及啓発とテクノロジーで、自然保護の実効性を高めていく」(皆藤自然保護官)。
登録推進室の大西千代子室長は、「出席者から環境教育について提言いただいた。今後も普及啓発は、将来的に維持していくために重要な取り組み。関係機関と連携し情報共有を図りながら、効果的な実施を検討していきたい」「IUCNの2度目の現地調査に、前回からどこを進捗させたのかをはっきりアピールできるように調整していきたい。最後まで気は抜けない」などと語った。