一般質問を行った中学生たち=和泊町=
【沖永良部】第23回和泊町子ども議会(同町議会、同町教育委員会主催)が2日、同町議会議事堂本会議室であった。町内の中学生10人が議員となり、島の農業や観光の課題解決に向けたアイデアを提案した。
沖永良部島や町の課題に関心を持ってもらおうと毎年夏休みに開催している。議長役を除く9人の中学生が一般質問し、役場の各課長が答弁した。
農業の活性化について質問した和泊中3年の南果歩さん(15)は「沖永良部高校に農業科または総合学科を新設することで、島内の人材を活用した教育が出来るし、島ならではの農業や畜産を学べる」と提案。また、城ケ丘中3年の山田裕介さん(14)は「最新の機械を導入すれば、農家の高齢化や跡継ぎの減少などの問題を改善できる」と述べ、ドローン(小型無人機)や無人走行ロボットトラクターの活用を呼び掛けた。
担当課長は「農業科の新設は、既存の科の定員数や沖高へ進学する生徒数の減少などを考慮すると厳しい面もある」「国と農業機械メーカーが共同でロボットトラクターの開発及び研究を進めている。一般農家に普及する段階となったら、事業への活用を検討したい」と答えた。
島の医療について質問した和泊中3年の末川俊助さん(15)は「沖永良部には、皮膚科や眼科などの専門の診療科目だけを受け持つ病院が少ない。専門的な治療を受けることで病気の治りも早くなり、治療費の負担も減る」と指摘した。このほか、方言の伝承や島の環境問題、観光活性化などの一般質問が行われた。
議長を務めた城ケ丘中3年の寺原巧真さん(14)は「自分に議長が務まるか不安だったが、みんなのおかげでやり切ることが出来た。子ども議会での経験を地域で生かしていきたい」と語った。
同町の竹下安秀教育長は「内容の充実した子ども議会だった。地域社会や日常生活の中の問題に気付き、自分なりの解決法を考え提案してくれた」と講評した。