通訳案内士育成研修

クルーズ船で訪れた外国人観光客の案内や通訳を行うスタッフら。今後、さらに通訳案内士の需要が高まる見込み

外国人観光客の受入態勢充実へ
10月スタート目指し、受講生募集
広域事務組合

 奄美群島広域事務組合は、来年の世界自然遺産登録を控え、奄美を訪れる外国人観光客の増加が見込まれることから、受け入れ態勢の充実を図るため今年度、「奄美群島地域通訳案内士」の育成に取り組む。通訳案内士の研修を10月から実施する計画で、今月21日まで受講生の応募を受け付けている。奄美群島の各島に研修会場を設置、英語、中国語、韓国語の3か国語のうち、応募者の多かった1~2か国語について約3カ月間、研修を実施する。

 地域通訳案内士は、昨年1月に施行された改正通訳案内士法に基づく資格で、自治体などが実施する研修を受講後、語学力と観光ガイドに必要な知識などに関する口述試験に合格、登録申請すると認定される。奄美では同広域事務組合が主体となって実施する。

 研修は語学のほか、奄美群島に関する知識などを学ぶ「地元学」、旅程管理知識や交通事情などを習得する「旅程管理」、現役の通訳案内士の実演を見学、実際に案内業務などを体験する「実地研修」など計7科目57時間のカリキュラムを、10月5日~12月22日までの約3か月間で受講する。

 研修は日常会話が可能な人が対象となるため、応募要件として、英語検定2級、中国語検定3級、韓国語能力試験4級程度の語学力が求められている。外国人の場合は、日本語能力試験「N2」相当が必要となる。 

 奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島でそれぞれ約30人の受講生を募り、英語、中国語、韓国語のいずれか1~2か国語について研修を実施する予定。書類審査を通過した応募者については、9月5日に各島で、面接による事前審査を実施、同20日に合否結果を通知する。

 同広域事務組合では2016年度から2年間、奄振法に基づく「特例通訳案内士」の育成に取り組み、英語81人、中国語26人の計107人の通訳案内士を養成した実績がある。18年度は育成した通訳案内士のスキルアップを図ったこともあり、新たな育成は行わなかったが、今後さらに外国人観光客の増加が見込まれることから、今年度から23年度末までの5年間で、英語44人、中国語16人、韓国語20人程度の計約80人の通訳案内士を新たに育成する計画だ。

 同広域事務組合は「奄美の自然や文化などを外国人観光客に正しく伝えられる人が求められている。語学力を生かし、奄美の魅力を伝えたいと思う人は、ぜひ研修に参加してほしい」と呼び掛けている。

 奄美群島地域通訳案内士育成研修に関する問い合わせは同広域事務組合(0997―52―6032)へ。